2019年の名珍場面を『THE DIGEST』のヒット記事で振り返るこの企画。今回はラグビーワールドカップから、日本中を熱狂させた歴史的”1勝”をいま一度、振り返る。
運命のプール戦最終戦、日本代表が宿敵スコットランドを28対21で下し、史上初の8強進出を決めた。はたして対戦相手の指揮官とエースは、あの大一番の敗因をどこに見出していたのか──。
記事初掲載:2019年10月14日
◆ ◆ ◆
[ラグビーW杯]日本28-21スコットランド/10月13日/横浜国際総合競技場
まさしく電光石火の4トライだった。
10月13日、横浜国際総合競技場でラグビー・ワールドカップのプールA第4戦、日本対スコットランドの大一番が行なわれ、ホストカントリーが“天敵”を28対21で退けた。4トライのボーナスポイントを加えた勝点5を上積みし、アイルランドを押さえて見事プールAを首位通過。日本ラグビー史上初のベスト8進出を果たし、10月20日に南アフリカと雌雄を決する。
日本は開始早々の6分に先制トライを許す苦しい展開。それでも、攻守両面にアグレッシブな姿勢を貫き、スコットランドのミスと焦りを巧みに誘って得点を重ねていった。後半に入って2トライを浴びて劣勢に立たされるも、うまく時間を使って反撃を凌ぎ切る狡猾な試合運びで、パワフルな逃走劇を完遂したのだ。
日本の勝因はどこにあったのか。試合後の記者会見で、スコットランド代表のグレガー・タウンゼンドHCは「我々は前半にあったミスが響き、どうにもボールを保持できなかった」と嘆き、こう説明した。
「日本がトリッキーな攻撃を仕掛けてくるのは予想していたし、立ち上がりは十分対応できていた。幸先良く7点を決めてスイッチをオフにしたわけではないだろうが、日本に勢いをもたらしてしまったのが手痛い。日本はボールをキープしているときにきわめて秀逸なプレーをした。彼らに与えた(前半の)ふたつのトライは、我々の甘さから生まれたものだ。我々も後半最初の10分、15分は非常に良かったが、結局は最後の15分であと7点にまで迫りながらも、逆転できるだけの力強さと精度が足りなかった」 さらに、チームの絶対エースであるSHグレイグ・レイドローは努めて冷静に、日本の優位性を次のように説いた。
「日本はチームとして、4年前(2015年大会)よりもかなり良いチームに仕上がっていた。それを実感したし、明らかに進歩しているように思う。素晴らしいパフォーマンスだったと認めざるを得ない。僕たちは先制トライを挙げたまではよかったけど、その後に日本に安易な形でトライを与えてしまった。28点はあまりにも重い。あの終盤、あと8点取らないと逆転できなかったのだから」
加えてレイドローは、日本のスクラムを称賛。「僕たちのほうがガタついてしまった。プロップが一生懸命やっていたが、なかなかうまく行かなくてフラストレーションを感じていた」と明かし、「28点は大きい。日本は高い能力を示したのであって、スコットランドはこの結果を真摯に受け止めなければならない」と、神妙な面持ちで言葉を紡いだ。
現在34歳の国民的英雄。ファンにとってやはり気になるのは“今後”だが、その点について問われると、「いまは僕個人のことを話すべきではない。まずはチームとして(史上2回目のプール戦敗退に)どう向き合っていくかが大事だからね」と明言を避けた。
取材・文●川原崇(THE DIGEST編集部)
【PHOTO】女性ファン必見!ラグビーW杯のイケメン&マッチョ選手を厳選!日本からは最多の8名をセレクト
運命のプール戦最終戦、日本代表が宿敵スコットランドを28対21で下し、史上初の8強進出を決めた。はたして対戦相手の指揮官とエースは、あの大一番の敗因をどこに見出していたのか──。
記事初掲載:2019年10月14日
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[ラグビーW杯]日本28-21スコットランド/10月13日/横浜国際総合競技場
まさしく電光石火の4トライだった。
10月13日、横浜国際総合競技場でラグビー・ワールドカップのプールA第4戦、日本対スコットランドの大一番が行なわれ、ホストカントリーが“天敵”を28対21で退けた。4トライのボーナスポイントを加えた勝点5を上積みし、アイルランドを押さえて見事プールAを首位通過。日本ラグビー史上初のベスト8進出を果たし、10月20日に南アフリカと雌雄を決する。
日本は開始早々の6分に先制トライを許す苦しい展開。それでも、攻守両面にアグレッシブな姿勢を貫き、スコットランドのミスと焦りを巧みに誘って得点を重ねていった。後半に入って2トライを浴びて劣勢に立たされるも、うまく時間を使って反撃を凌ぎ切る狡猾な試合運びで、パワフルな逃走劇を完遂したのだ。
日本の勝因はどこにあったのか。試合後の記者会見で、スコットランド代表のグレガー・タウンゼンドHCは「我々は前半にあったミスが響き、どうにもボールを保持できなかった」と嘆き、こう説明した。
「日本がトリッキーな攻撃を仕掛けてくるのは予想していたし、立ち上がりは十分対応できていた。幸先良く7点を決めてスイッチをオフにしたわけではないだろうが、日本に勢いをもたらしてしまったのが手痛い。日本はボールをキープしているときにきわめて秀逸なプレーをした。彼らに与えた(前半の)ふたつのトライは、我々の甘さから生まれたものだ。我々も後半最初の10分、15分は非常に良かったが、結局は最後の15分であと7点にまで迫りながらも、逆転できるだけの力強さと精度が足りなかった」 さらに、チームの絶対エースであるSHグレイグ・レイドローは努めて冷静に、日本の優位性を次のように説いた。
「日本はチームとして、4年前(2015年大会)よりもかなり良いチームに仕上がっていた。それを実感したし、明らかに進歩しているように思う。素晴らしいパフォーマンスだったと認めざるを得ない。僕たちは先制トライを挙げたまではよかったけど、その後に日本に安易な形でトライを与えてしまった。28点はあまりにも重い。あの終盤、あと8点取らないと逆転できなかったのだから」
加えてレイドローは、日本のスクラムを称賛。「僕たちのほうがガタついてしまった。プロップが一生懸命やっていたが、なかなかうまく行かなくてフラストレーションを感じていた」と明かし、「28点は大きい。日本は高い能力を示したのであって、スコットランドはこの結果を真摯に受け止めなければならない」と、神妙な面持ちで言葉を紡いだ。
現在34歳の国民的英雄。ファンにとってやはり気になるのは“今後”だが、その点について問われると、「いまは僕個人のことを話すべきではない。まずはチームとして(史上2回目のプール戦敗退に)どう向き合っていくかが大事だからね」と明言を避けた。
取材・文●川原崇(THE DIGEST編集部)
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