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バレーボール

石川祐希、王者ペルージャ移籍の舞台裏。会長は発表前から興奮を抑えきれず「イシカワ! イシカワ! イシカワのことを話したいんだ!」

佳子S.バディアーリ

2024.05.17

石川のペルージャ加入を歓迎するコラージュ画像。 提供 Sir Susa Vim Perugia

石川のペルージャ加入を歓迎するコラージュ画像。 提供 Sir Susa Vim Perugia

 現地日、14バレーボール男子日本代表の石川祐希が、主戦場とするイタリアリーグ/スーペルレーガで今季王者のシル スーサ ヴィム・ペルージャに加入(契約期間2年)することを正式発表した。

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 イタリアはもちろん、欧州をはじめとする各国で大注目を集めた石川の移籍。報じられ始めたのは、2020-21から所属したミラノで4度目のレギュラーシーズンを戦う真っ最中だった。世界屈指と呼ばれるようになったアウトサイドヒッター(OH)の去就だけでも移籍市場を騒がせる出来事。さらに新天地候補の筆頭は欧州トップクラスの強豪ペルージャとあって、メディアとファンの関心は強まる一方だった。

 実のところ、取材で出会うリーグ関係者の間で“ペルージャの石川獲得”は、ある時期から暗黙の了解となっていた。だが、あまりの過熱ぶりに、シーズン中の選手本人、所属クラブやチームメートに配慮して公の場で言及を控える状況が続いていた。そのため、耳に入る情報は、オフレコとして温めてきた。

 そんな空気の中、プレーオフ開幕直後の取材で訪れたペルージャの本拠地『パラ バルトン』でリーグ関係者と談笑していると、「イ・シ・カ・ワー!!」と叫びながらこちらへ近寄ってきたのは、ジーノ・シルチ会長だった。アイコンタクトで肯定を匂わせつつも、言葉では知らぬ存ぜぬを貫いていたペルージャ陣営をかき分けて、「イシカワ!イシカワ!イシカワのことを話したいんだ!」とまだ禁句であったはずの名前を連呼。驚きを隠せない周囲の空気に、「これ、いいのか?」とドギマギしながら、熱弁に耳を傾けた。退団する主将のポーランド代表OHウィルフレド・レオンの後任として白羽の矢を立てた石川の獲得は、ペルージャにとって至上命題。それを成し遂げたクラブのトップは、歓喜を抑えきれない様子だった。

 移籍に関する第一報を目にした直後から、きっとイタリア中部のこのクラブを新天地に選ぶだろうと確信していた。精鋭が揃う常勝クラブへの加入をキャリアの青写真として語っていた石川が、歩みを止めるはずがないからだ。けれど、予期せぬ形でそれが現実となった瞬間、より熾烈な環境へ自ら飛び込み新たな扉を開く石川の選択に万感の思いが込み上げてきた。
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