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ラグビー

「安パイを狙いに行くんじゃなくて…」3度の日本一を経験する東京SGルーキー、高本幹也が意識する“短期決戦”のポイントは?

向風見也

2024.05.18

東京SGの司令塔として活躍する高本。チームを高みに導けるか。(C) Getty Images

東京SGの司令塔として活躍する高本。チームを高みに導けるか。(C) Getty Images

 高本幹也が口角を緩める。涼しげな目。成人男性にあってはやや高めの声を連ねる。

「どの試合も負けたくないんですけど、負けたら終わりという試合になればなるほど、やっぱり、気持ちは高まる。何て言うんですかね…。トーナメントのほうが、迷わないというか、思い切ってやろう、となる」

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 大阪桐蔭高、帝京大では日本一を争うノックアウトステージを計3度、制している23歳。5月19日からは東京サントリーサンゴリアスの一員として、リーグワン1部のプレーフに挑む。

 身長171センチ、体重80キロと小柄も、実質1年目にして司令塔のスタンドオフとしてレギュラーシーズン全16試合に先発してきた。

 実戦を通して進歩してきた。チームで作ったプランを仲間と遂行したり、その流れで学生時代から定評のある技術と判断力を活かしたり。フッカーの堀越康介主将に、こう認められる。

「もともと強気な選手なんですけど、試合を重ねるごとに『このチームをどう勝たせるか』『自分のプレーがどれだけチームに影響を与えるか』について責任を感じてきて、それを日々の活力、自信にして、いいサイクルで成長している」

 印象的な働きを披露したのは4日。東京・秩父宮ラグビー場で、昨季王者のクボタスピアーズ船橋・東京ベイを迎えたリーグ最終節のことだ。

 26―14とリードしていた後半4分頃だった。

 相手ボールキックオフから、自陣10メートル線付近左中間でラックができる。その左側でパスを受けた高本がさらに左を向き、かつ、右前方へ低いキックを放つ。向こうの虚を突く弾道で、エリアの奪い合いを始める。

 蹴り返されたら、その弾道を予測して自陣22メートル線付近右でキャッチ。走りながら左足を振り抜き、楕円球を敵陣22メートルエリアまで飛ばす。

 その後、いくつかのラリーを経て、スピアーズがやや後逸しながら何とかリターン。それをハーフ線付近の右タッチライン際で捕球したのが、高本だった。

 駆け上がる。

 ふわりと球を浮かせる。

 せり上がってくる防御の背後へ落とし、その地点へは味方が圧。結局、動き始めた地点よりも約20メートルも進んだところでリスタートできた。

「(秘訣は)練習(の成果)と、あとはちょっと直感の部分です」

 1点差でも勝てば官軍のプレーオフにおいては、いかに敵陣ゴールラインの近くにいられるかが肝となる。競技の特性上、ずっと守っていてもペナルティーゴールを得てスコアできるからだ。

だから、高本のキックバトルでの閃きはいっそう価値を高める。スピアーズ戦は決定機を逃すなどして26―45と惜敗も、「(他の選手と同じ)絵は見られている」とビジョンの共有には手応えを口にした。
 
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