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ラグビー

「小さいからラグビーなんかできねーよ」南アフリカをW杯優勝に導いた小柄な男が持つ反骨心と日本へのリスペクト

向風見也

2023.04.08

横浜キヤノンイーグルスのスクラムハーフとして存在感を見せるデクラーク。(C) Getty Images

横浜キヤノンイーグルスのスクラムハーフとして存在感を見せるデクラーク。(C) Getty Images

 金の長髪をなびかせ、ファフ・デクラークは暴れる。

 2019年のラグビー・ワールドカップ日本大会では、南アフリカ代表の一員として準々決勝で日本代表を破った。そのまま同国3度目の優勝を果たし、日本でも広く知られるようになった。

【動画】デクラークが別格のプレー! 横浜vs神戸ハイライト
 横浜キヤノンイーグルスへ加わったのは昨夏のこと。同年12月から開催中のリーグワン1部にあって、攻めの起点のスクラムハーフとして周りに違いを示す。

 接点へ駆け寄っては緩急をつけてラン、パスを繰り出すうえ、相手の捕りづらい高さ、球筋のキックでも魅する。

 守りでも目立つ。危険地帯を先回りし、強烈なタックルを繰り出す。

 さらに印象的なのは、防御網から極端に飛び出し、相手に圧をかける動きだ。

「オプション(攻めの選択肢)が豊富じゃない選手の唯一のオプションを消しに行く」と判断の根拠を説くが、理論に収まらぬ思いにも突き動かされる。

 身長171センチ・体重80キロ。一線級にあっては小柄も、大男の多い南アフリカでトップに立ったのだ。31歳にして反骨心がある。

「お前は小さいからラグビーなんかできねーよ。散々そう言われてきて、見返したいと思ってきました。デカい相手がこちらへ走ってくる。こいつは小さいからタックルなんかできないだろう。…きっとそう見られているなか、思いっきりタックルへ行ってビビらせる。それをいまは、楽しんでできるようになりました」

 仲間内ではひょうきんな友で鳴らす。

 ある選手曰く、「溶け込みやすい。結構、皆のことをいじる。そして自分がいじられたら、たまに怒る……。いい感じにやっています」。本人は続ける。

「楽しい雰囲気、エネルギーをチームに与えたい。性格上、明るく振る舞うのが好き。ただ、メリハリが大事。グラウンドに一歩、足を踏み入れれば、仕事をしないといけない」

東京都町田市にある本拠地では、チーム戦術を念頭に置き、実戦形式のトレーニングを引っ張る。

 インサイドセンターの梶村祐介主将によれば、「ラグビー以外の面でも大きな戦力です」とのことだ。

「ファフはイーグルスのラグビーを理解するのも早かったですし、発言、態度ともポジティブ。チームにとってマイナスな行動をしない」
 
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