5月19日、3歳牝馬クラシックの二冠目であるオークス(GⅠ、東京・芝2400m)が行なわれ、単勝2番人気に推されたチェルヴィニア(美浦・木村哲也厩舎)が、1番人気の桜花賞馬ステレンボッシュ(美浦・国枝栄厩舎)を半馬身差し切って優勝。桜花賞13着から、一気の巻き返しを果たして栄冠を手にした。
一方、熾烈な3着争いは後方から一気に追い込んだ3番人気のライトバック(栗東・茶木太樹厩舎)が入着。1~3番人気が上位を占める堅い決着になった。
チェルヴィニアは昨年10月末、アルテミスステークス(GⅢ、東京・芝1600m)を制したのち、約5か月の休養をはさんで桜花賞(GⅠ、阪神・芝1600m)にぶっつけで挑んだ。デビューから3戦すべて手綱を取っていたクリストフ・ルメール騎手が、3月のドバイ遠征で思わぬ落馬負傷をしてしまい休養中だったため、鞍上は短期免許で来日していたバウルジャン・ムルザバエフ騎手に乗り替わっての参戦となった。
長めの休養を経たものの、素晴らしい仕上がりを見せたチェルヴィニアは4番人気の支持を受けたが、大外18番枠からのスタートで距離損を嫌ってか馬群の中へ潜ってレースを進めた。しかし、それが裏目に出て直線で両脇から挟まれ、その直後には進路を塞がれて手綱を引っ張るという二度の不利を受け、まともに追うことができないまま勝ち馬と1秒2差の13着に大敗してしまった。ムルザバエフ騎手の騎乗をミスというのは難しいが、名手らしからぬ、いささか拙いものであったのは確かだろう。
初のGⅠで完敗を喫したチェルヴィニアだったが、オークスでは桜の女王であるステレンボッシュに次ぐ2番人気に推された。これは、桜花賞を惨敗した馬としては異例のことだろう。
厚い支持を受けたのには、いくつかの要因がある。ひとつは、前述したような直線での不利を極めて重大なアクシデントだと判断し、競馬関連の他メディアを含め、潜在能力はトップクラスとの評価を下した記者やトラックマンの記事が少なくなかったこと。2つ目は、前々走までの3戦に乗っており、デビュー時からポテンシャルを高く評価していたルメール騎手の手綱に再び戻ること。3つ目は、母チェッキーノ(母の父キングカメハメハ)が2016年のオークスで勝ち馬シンハライトのクビ差2着に食い込むという強力な血統背景があったことだ。
さらに言えば、関係者が早くから「桜花賞よりはオークス向き」とその適性を語り、大舞台を見据えて叩き2戦目でピークを持ってきたのではないか、との読みが入ったのも影響していたかもしれない。
レースは逃げ馬2頭が後続を引き離す展開で、1000mの通過ラップが57秒7というハイペースで進んだ。7番枠からスタートしたステレンボッシュは馬群のなかの9番手でレースを進め、12番枠から出たチェルヴィニアは馬の行く気に任せて馬群の外目、12番手付近に位置をとった。
府中の長い直線で先に動いたのはステレンボッシュ。先行集団の壁にできた1頭分の隙間を突いて脚を伸ばし、逃げ込みを図るクイーンズウォーク(栗東・中内田充正厩舎)を捉えて先頭に立つ。1番人気の宿命とも言える早めの仕掛けで抜け出したライバルを目掛けて、その外から豪快に追い込んだのがチェルヴィニアだった。抵抗するステレンボッシュをねじ伏せるように差し切ると、半馬身差をつけてゴール。見事に桜花賞のリベンジを果たした。それも、二桁着順からの”倍返し”という大がかりなミッションを遂行できた。
一方、熾烈な3着争いは後方から一気に追い込んだ3番人気のライトバック(栗東・茶木太樹厩舎)が入着。1~3番人気が上位を占める堅い決着になった。
チェルヴィニアは昨年10月末、アルテミスステークス(GⅢ、東京・芝1600m)を制したのち、約5か月の休養をはさんで桜花賞(GⅠ、阪神・芝1600m)にぶっつけで挑んだ。デビューから3戦すべて手綱を取っていたクリストフ・ルメール騎手が、3月のドバイ遠征で思わぬ落馬負傷をしてしまい休養中だったため、鞍上は短期免許で来日していたバウルジャン・ムルザバエフ騎手に乗り替わっての参戦となった。
長めの休養を経たものの、素晴らしい仕上がりを見せたチェルヴィニアは4番人気の支持を受けたが、大外18番枠からのスタートで距離損を嫌ってか馬群の中へ潜ってレースを進めた。しかし、それが裏目に出て直線で両脇から挟まれ、その直後には進路を塞がれて手綱を引っ張るという二度の不利を受け、まともに追うことができないまま勝ち馬と1秒2差の13着に大敗してしまった。ムルザバエフ騎手の騎乗をミスというのは難しいが、名手らしからぬ、いささか拙いものであったのは確かだろう。
初のGⅠで完敗を喫したチェルヴィニアだったが、オークスでは桜の女王であるステレンボッシュに次ぐ2番人気に推された。これは、桜花賞を惨敗した馬としては異例のことだろう。
厚い支持を受けたのには、いくつかの要因がある。ひとつは、前述したような直線での不利を極めて重大なアクシデントだと判断し、競馬関連の他メディアを含め、潜在能力はトップクラスとの評価を下した記者やトラックマンの記事が少なくなかったこと。2つ目は、前々走までの3戦に乗っており、デビュー時からポテンシャルを高く評価していたルメール騎手の手綱に再び戻ること。3つ目は、母チェッキーノ(母の父キングカメハメハ)が2016年のオークスで勝ち馬シンハライトのクビ差2着に食い込むという強力な血統背景があったことだ。
さらに言えば、関係者が早くから「桜花賞よりはオークス向き」とその適性を語り、大舞台を見据えて叩き2戦目でピークを持ってきたのではないか、との読みが入ったのも影響していたかもしれない。
レースは逃げ馬2頭が後続を引き離す展開で、1000mの通過ラップが57秒7というハイペースで進んだ。7番枠からスタートしたステレンボッシュは馬群のなかの9番手でレースを進め、12番枠から出たチェルヴィニアは馬の行く気に任せて馬群の外目、12番手付近に位置をとった。
府中の長い直線で先に動いたのはステレンボッシュ。先行集団の壁にできた1頭分の隙間を突いて脚を伸ばし、逃げ込みを図るクイーンズウォーク(栗東・中内田充正厩舎)を捉えて先頭に立つ。1番人気の宿命とも言える早めの仕掛けで抜け出したライバルを目掛けて、その外から豪快に追い込んだのがチェルヴィニアだった。抵抗するステレンボッシュをねじ伏せるように差し切ると、半馬身差をつけてゴール。見事に桜花賞のリベンジを果たした。それも、二桁着順からの”倍返し”という大がかりなミッションを遂行できた。
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