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スピードだけじゃない「タフなスタミナ」を持ち併せたロマンチックウォリアー。陣営が18年ぶりの“確勝”を見込んだ日本遠征は最高の結果に【安田記念】

三好達彦

2024.06.05

香港馬のロマンチックウォリアーが安田記念を制した。写真:産経新聞社

香港馬のロマンチックウォリアーが安田記念を制した。写真:産経新聞社

 6月2日、春のマイル王決定戦が行なわれ、香港から参戦した単勝1番人気のロマンチックウォリアー(せん6歳/C.シャム厩舎)が馬群から抜け出し、外から急襲した4番人気のナミュール(牝5歳/栗東・高野友和厩舎)、2番人気のソウルラッシュ(牡6歳/栗東・池江泰寿厩舎)を抑えて快勝した。これでGⅠレース5連勝(通算7勝)とし、香港馬としては、2006年のブリッシュラック以来18年ぶり、史上4頭目の優勝を飾った。

 4着に5番人気のガイアフォース(牡5歳/栗東・杉山晴紀厩舎)、5着には3番人気のセリフォス(牡5歳/栗東・中内田充正厩舎)が入り、単勝1~5番人気が上位を占める堅い結果となった。

 かつて、日本の関係者を震え上がらせた「短距離王国」と称される香港からの刺客が、そのポテンシャルをフルに発揮して、久々に日本馬をねじ伏せた。

 週中にも相当量の降雨があったが、前日から断続的に降った弱い雨が府中の馬場を湿らせたため、当日の芝コースの馬場状態は「稍重」。第9レース、2勝馬の特別戦(芝2000m)の走破タイムが1分58秒7と、やはり時計がかかる馬場状態になっていた。マイルを制するスピードはもちろん、そのスピードの持続力も必要となるタフなコンディションである。
 
 レースはドーブネ(牡5歳/栗東・武幸四郎厩舎)が先手を取り、ウインカーネリアン(牡7歳/美浦・鹿戸雄一厩舎)がそれに続いた今年の安田記念。ロマンチックウォリアーとヴォイッジバブル(せん6歳/P.イウ厩舎)の2頭は6~7番手と前目に位置を確保して流れに乗り、その直後をガイアフォースが追走。ソウルラッシュは中団の後方10番手付近を進み、末脚自慢のナミュールは13番手に控えて、勝負の刻(とき)を待った。

 1000mの通過ラップは58秒4と、稍重の馬場状態を考えるとやや速めの平均ペースでレースは進み、後続も前との差を詰めて、馬群は横に広がりながら直線へ向いた。

 注目のロマンチックウォリアーは5番手付近まで押し上げたが、そこは周囲を囲まれた馬群の真っ只中。外からは横山典弘騎乗のステラヴェローチェ(牡6歳/栗東・須貝尚介厩舎)にフタをされて、持ち出すスペースが見当たらないピンチに見舞われていた。

 しかし、そのフタに僅かな隙ができた瞬間、ロマンチックウォリアーは鞍上に導かれて、馬体をそのスペースへ滑り込ませると一気にスパート。内の馬群を置き去りにして先頭に躍り出るが、外に進路をとって併せ馬のような格好で追い込んできたのが、ナミュールとソウルラッシュ。強烈な決め手を持つ2頭の急襲に観客は沸いたが、ロマンチックウォリアーは実に粘り強く末脚を伸ばし、ナミュールを半馬身抑えて優勝。ジェームズ・マクドナルド騎手は高々と右手をスタンド方向に突き上げて喜びを表わした。
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