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スピードだけじゃない「タフなスタミナ」を持ち併せたロマンチックウォリアー。陣営が18年ぶりの“確勝”を見込んだ日本遠征は最高の結果に【安田記念】

三好達彦

2024.06.05

 ロマンチックウォリアーは、昨秋のコックスプレート(豪G1)からスタートしたGⅠ連勝記録を「5」に伸ばしたわけだが、距離が2000m以上(コックスプレートのみ2040m)で、本来は中距離馬だと断じるものも少なくなかった。しかし、香港には長くマイル戦線に君臨する王者ゴールデンシックスティ(せん9歳)がいるため、距離の融通性が高い本馬は中距離戦線に回って実績を積み重ねてきたという事情もある。

 そして、仮に馬場状態が良くても他場よりもタフさを要求される東京のマイル戦では、彼が持つスタミナの豊かさも生かされたと考えられる。それは、早めに抜け出しながら、猛烈な脚色で迫ってきたナミュールとソウルラッシュを決して抜かせなかった、しぶとさにしっかり表われていた。

 レース後、シャム調教師は、「馬にも騎手にも、そして自分自身にも自信がありました。(マイルの距離については)香港では2000mを中心に走ってきましたが、直線も香港に比べて長く、そして坂もあって、そのポテンシャルで対応できると思っていました」と、勝算を見込んでの遠征であったことを改めて明かしている。まさに、その読み通りの勝利を挙げたことに脱帽せざるを得ない。

 なお、ロマンチックウォリアーと17着に敗れたヴォイッジバブルの香港勢2頭は、予備登録していた6月23日の宝塚記念(GⅠ、京都・芝2200m)には出走しない旨を示した。
 
 一方、香港馬に後塵を拝した日本勢。半馬身差届かなかったナミュールの手綱を取った武豊騎手は、「前走と違い、活気を感じました。惜しかったです。残念。悔しいです」と、目論見通りのレースをしながらの惜敗にホゾを噛んだ。

 ナミュールとはハナ差の3着に入ったソウルラッシュのジョアン・モレイラ騎手は「良いスタートを切って、良いポジションでリズムも良かった。ただ、勝ち馬に勝負しにいった分、最後に脚が上がってしまいました」と、無念のコメント。騎乗馬を褒めるとともに、勝ったロマンチックウォリアーの強さを素直に認めていた。

 最後に、プレビュー記事で「特注」の穴馬として推奨した2頭について触れる。ジオグリフ(牡5歳/美浦・木村哲也厩舎)は、前で見せ場を作りながらの6着。エルトンバローズ(牡4歳/栗東・杉山晴紀厩舎)は、後方からじりじりと差を詰めて8着。前者は高値安定だが、壁を突き破るほどの復調はまだ見られず。エルトンバローズも昨年の毎日王冠(GⅡ)を制した時ほどの状態には、ひと息足りなかった印象だった。

 それでもジオグリフは勝ち馬から0秒5差、エルトンバローズは0秒6差と相手が一枚上だったとはいえ、決して悲観するような着差ではない。特にエルトンバローズは、まだ4歳だけに、今後も忘れずマークしておきたい1頭である。

取材・文●三好達彦

【動画】18年ぶりに外国馬がV!”香港最強馬”ロマンチックウォリアーが直線突き抜ける!
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