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ラグビー

「今までの人生にないくらい緊張していて」早大2年FB矢崎由高が日本代表デビュー戦で味わったほろ苦さ…強豪イングランドを相手に抱いた想いとは?

向風見也

2024.06.24

20歳の矢崎が日本代表デビュー。イングランドを相手に貴重な経験を積んだ。写真提供:日本ラグビーフットボール協会

20歳の矢崎が日本代表デビュー。イングランドを相手に貴重な経験を積んだ。写真提供:日本ラグビーフットボール協会

 キックオフ直前。両方の手のひらを合わせてこすったり、その手を赤と白のジャージィでぬぐったりしていた。普段なら見られぬしぐさに、心中をにじませた。

 20歳の矢崎由高が、ラグビー日本代表としてのデビュー戦に臨んだ。6月22日、東京は国立競技場でイングランド代表を迎えた。

 身長180センチ・体重86キロの好ランナーが、初のテストマッチ(代表戦)で昨秋のワールドカップフランス大会で3位だった強豪と激突することとなったのだ。15番をつけ、最後尾でのフルバックに入った。心境はこうだ。

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「(試合に)出る前は、今までの人生にないくらい緊張していて。…正確に言えば、昨日(試合前日)の夕方くらいが一番、緊張していました。もちろん、メンバー発表はもう少し前にあったんですけど、(21日の夕方頃に)ジャージィプレゼンテーション(出場選手へのジャージィ授与)が終わって、『ホームで、イングランド代表戦で先発の15番で出させていただく』という実感がわいてきて…。逆に今日は、ほどよいマインドセットでできたとは思います」

 桐蔭学園高出身で、いまは早大2年だ。本来なら20歳以下(U20)日本代表の選考対象も、日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチが飛び級を促した。U20日本代表の関連活動を視察したうえで、正代表の練習生にしたのだ。

 6月6日からの宮崎合宿では、早くから主力らしき組に混ぜて実戦練習をさせた。確信した。

「若い選手を抜擢する際は感情面の未熟さが問題に挙がりがちですが、これまでの様子を見るに、矢崎はプレッシャーに耐えうるだろうと感じます」

 いわば今回の国立での「緊張」は、若いのだから当然というより、この青年にしては珍しいと取るほうが自然かもしれなかった。

 当日に15番が受け入れたのは、貴重で苦いレッスンだった。

 球を持ち、落ち着いて目の前の人をかわすという持ち味を発揮しながらも、相手の防御に手をかけられてボールを滑らせたり、蹴り込まれた高い弾道のキックを落球したりもした。後半15分に退いた。

 17―52での終戦後、記者団からは「力は出し切れたか」と問われた。即答した。

「力を出し切れていたら、もっと結果はいい形に終わっていたと思います。出し切れては、ないですね。もっとボールに絡んだプレーを多くするべきでしたし」
 
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