天候がたびたび変化する中でスリリングなレースが展開されたF1第12戦イギリス・グランプリの決勝で、メルセデスのルイス・ハミルトンがトップでチェッカーフラッグを受け、実に945日ぶりの優勝を飾るとともに、自身が持つ通算最多優勝記録を104に伸ばした。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)と激しく年間王座を争っていた2021年シーズンの第21戦サウジアラビアGPで年間8勝目を挙げて以来、56レースぶりの優勝。ちなみにそのレースの1週間後に行なわれたアブダビでの最終戦では、大きな物議を醸した最終周でのレース再開によって、土壇場で勝利を逃すだけでなく、年間タイトルまで奪われてしまったハミルトンだが、その後はチームがレギュレーション変更に対応できなかったこともあり、長く苦悩の時を過ごしてきた。
今季も相変わらずメルセデスは浮き沈みの激しいシーズンを送っているが、オーストリアGPでジョージ・ラッセルが今季初勝利を飾った勢いを維持し、今度はハミルトンがポディウムの頂点へ。同じGPでの通算9回目の勝利で、ミハエル・シューマッハの記録を更新した39歳はレース後、喜びと安堵の涙を流し、その思いを明かしている。
「勝利の後に泣いたことは一度もなかったが、今回は自然と湧き上がってきた。とても素晴らしい感情だ。とても、とても感謝している。初めての勝利、あるいはこれまでのタイトル獲得を決めた勝利はどれも重要なものだが、それでも今日の勝利が最も重要だと感じている」
「精神的な問題に苦しみ、朝ベッドから起き上がれないことが何日も続いた。2021年から今までの間、自分の力が十分ではないと感じたり、もう元の場所には戻れないかもしれないと思ったりした日が確かにあった。自分にできることは、諦めないことだ。今、自分の人生で正しい決断をしていると感じている」
ハミルトンといえば、2013年から所属してきたメルセデスを今季限りで退団し、フェラーリに移籍することが決定している。それだけに、「僕のためにこれまでチームがしてくれた全ての努力に心から感謝している。このチームでの最後の英国GPで優勝したいと思っていた。このような結果を残せて、これ以上に素晴らしいことはない」と、より特別な感情であることを強調した。
英国の日刊紙『The Guardian』は、母国の英雄の勝利を「これは感情豊かに表現されたスポーツであり、完璧なドラマのための完璧な舞台だった。初めて主人公であるハミルトンに涙を流させ、おそらく最も冷徹な心の持ち主さえも感動させた、強烈で魅力的なストーリーだ」と表現し、ドイツの日刊紙『BILD』は「“シルバーアロー”は自らハリウッド映画の台本を書いた。涙、嵐、そして最後には永遠の記録が残った」と綴っている。
英国の『Mirror』紙は、このレースでハミルトンが新たに「5つの記録」を樹立したことを報道。まずは前述の通り、ひとつのGPでの通算勝利数(9回)で、またシルバーストーンで表彰台に上がったのが15回というのも記録だ。続いて、300回以上(344レース)の出走で勝利した史上初のドライバーでもあり、また39歳182日での優勝は21世紀のF1ドライバーでは最年長。そして2007年カナダGPでの初優勝から今回までの期間も史上最長となった。
デビューイヤーから年間王座を争い、以降のキャリアでトップレベルを維持してきたからこそ生み出せた偉大な記録の数々。ここ数年は衰えを指摘され、その去就について厳しい声を浴びせられることもあったが、今回の1勝が「勝利への道に戻ることを意味してくれれば……」という彼の望み通りになるのか。復活した39歳の今後が非常に興味深い。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】母国イギリスで今シーズン初優勝!「強いハミルトンが帰ってきた!」
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)と激しく年間王座を争っていた2021年シーズンの第21戦サウジアラビアGPで年間8勝目を挙げて以来、56レースぶりの優勝。ちなみにそのレースの1週間後に行なわれたアブダビでの最終戦では、大きな物議を醸した最終周でのレース再開によって、土壇場で勝利を逃すだけでなく、年間タイトルまで奪われてしまったハミルトンだが、その後はチームがレギュレーション変更に対応できなかったこともあり、長く苦悩の時を過ごしてきた。
今季も相変わらずメルセデスは浮き沈みの激しいシーズンを送っているが、オーストリアGPでジョージ・ラッセルが今季初勝利を飾った勢いを維持し、今度はハミルトンがポディウムの頂点へ。同じGPでの通算9回目の勝利で、ミハエル・シューマッハの記録を更新した39歳はレース後、喜びと安堵の涙を流し、その思いを明かしている。
「勝利の後に泣いたことは一度もなかったが、今回は自然と湧き上がってきた。とても素晴らしい感情だ。とても、とても感謝している。初めての勝利、あるいはこれまでのタイトル獲得を決めた勝利はどれも重要なものだが、それでも今日の勝利が最も重要だと感じている」
「精神的な問題に苦しみ、朝ベッドから起き上がれないことが何日も続いた。2021年から今までの間、自分の力が十分ではないと感じたり、もう元の場所には戻れないかもしれないと思ったりした日が確かにあった。自分にできることは、諦めないことだ。今、自分の人生で正しい決断をしていると感じている」
ハミルトンといえば、2013年から所属してきたメルセデスを今季限りで退団し、フェラーリに移籍することが決定している。それだけに、「僕のためにこれまでチームがしてくれた全ての努力に心から感謝している。このチームでの最後の英国GPで優勝したいと思っていた。このような結果を残せて、これ以上に素晴らしいことはない」と、より特別な感情であることを強調した。
英国の日刊紙『The Guardian』は、母国の英雄の勝利を「これは感情豊かに表現されたスポーツであり、完璧なドラマのための完璧な舞台だった。初めて主人公であるハミルトンに涙を流させ、おそらく最も冷徹な心の持ち主さえも感動させた、強烈で魅力的なストーリーだ」と表現し、ドイツの日刊紙『BILD』は「“シルバーアロー”は自らハリウッド映画の台本を書いた。涙、嵐、そして最後には永遠の記録が残った」と綴っている。
英国の『Mirror』紙は、このレースでハミルトンが新たに「5つの記録」を樹立したことを報道。まずは前述の通り、ひとつのGPでの通算勝利数(9回)で、またシルバーストーンで表彰台に上がったのが15回というのも記録だ。続いて、300回以上(344レース)の出走で勝利した史上初のドライバーでもあり、また39歳182日での優勝は21世紀のF1ドライバーでは最年長。そして2007年カナダGPでの初優勝から今回までの期間も史上最長となった。
デビューイヤーから年間王座を争い、以降のキャリアでトップレベルを維持してきたからこそ生み出せた偉大な記録の数々。ここ数年は衰えを指摘され、その去就について厳しい声を浴びせられることもあったが、今回の1勝が「勝利への道に戻ることを意味してくれれば……」という彼の望み通りになるのか。復活した39歳の今後が非常に興味深い。
構成●THE DIGEST編集部
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