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ラグビー

ポジション争いの相手はフランス代表の至宝。ラグビー日本代表SH齋藤直人が“トゥールーズ移籍”で求めるもの

向風見也

2024.07.14

「チームを勝たせる9番になる」という理想を掲げる齋藤。フランスでさらなるステップアップを期す。(C) Getty Images

「チームを勝たせる9番になる」という理想を掲げる齋藤。フランスでさらなるステップアップを期す。(C) Getty Images

 一流の考えは簡潔だ。ラグビー日本代表の齋藤直人の目標はこうだ。

「ざっくり言うと、ワールドクラスの選手になりたいと思っていて…」

 では自身にとっての「ワールドクラス」の定義は。

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「やっぱり、テストマッチで勝つ9番(スクラムハーフ)かな、と思います。はい。テストマッチの舞台で自分の能力を出すことと、それで自分のチームを勝たせる9番です」

 テストマッチは代表戦のことだ。攻めの起点にあたるスクラムハーフを担うのだから、自らの判断と技術で自国代表を勝たせるのが「ワールドクラス」の条件だとこの人は捉える。

 身長165センチ、体重73キロの26歳。なめらかで速いパスを小気味よく配する齋藤は、2024年夏よりフランスのトゥールーズでプレーする。

 7月某日。ちょうど参加中だった代表関連活動の合間に、オンライン取材へ応じた。

 フランスの市場が閉じる間際の6月30日に1年契約を勝ち取ったとあり、まずは日本、フランスの複数のクラブとの交渉に尽力した代理人に謝辞を述べた。

 さらには質疑を通し、契約までに触れた欧州の契約事情への所感、加入するトゥールーズのコーチ陣とプレースタイルや活動期間について話し合った様子を述べる。

「結構、(締結が)ぎりぎりだったなと。それは、もともといた選手が関係していたり、または他のチームのスクラムハーフの選手の移籍が関係していたり。色んなことが繋がって動いていて…。トゥールーズの監督、コーチ陣とも面接をさせてもらいました。日本だと通訳がいるのですが、今回は初めて英語で行ないました。これからは毎日がそういう環境になる。より(言葉を)勉強しなきゃな、と思いました」

 サッカー界にも通じる代理人によれば、いまのフランス・ラグビー界におけるシーズンオフの移籍マーケットは当該シーズンの開幕から1年以上も前に開かれる。

 昨秋のワールドカップ・フランス大会出場後に24年夏からの挑戦を目指した齋藤は、「後発組」だったようだ。

 もうひとつネックとなったのは、言語の問題だ。齋藤はずっと英語学習に注力してきたが、フランス語の飛び交う現場で組織攻撃を先導できるかは懸念材料とされたようだ。代理人がそう証言した。

 今回のトゥールーズとの契約期間は1年間だ。なるたけ長く海外でプレーしたいという齋藤は、これから現地で力を発揮できることを証明するほかない。
 
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