格闘技・プロレス

「背負うものがあるから踏み込めた」スターダム×センダイガールズ二冠戦が紡ぎ出す新たなドラマ。安納サオリと岩田美香の闘いは続く

橋本宗洋

2024.07.18

スターダムとセンダイガールズ両団体の王座を賭けた二冠戦となった安納サオリvs岩田美香の一戦。写真:橋本宗洋

 プロレス界において、王者対決は非常に難しいものになりがちだ。お互い譲れない意地があるし、勝ち負けには団体の"格"も関わってくる。

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 安納サオリ(スターダム)と岩田美香(センダイガールズ)の対戦も、そうだと思われた。6月22日、スターダム代々木大会でのタイトルマッチ。引き分けと予想するファンも多かったという。実際、両者の過去2度のシングル対決はいずれも時間切れ引き分けに終わっている。

 だが、だからこそ両者は踏み込んだ。自身が持つワンダー・オブ・スターダム王座の挑戦者に岩田を指名した安納は「これは私のわがまま」だと言った。団体内に挑戦者候補が何人もいる中で、他団体の選手と決着をつけようとする。そこに責任を感じていたのだ。岩田にとっても、安納は特別な相手だった。

「背負うものがあるから踏み込めた」と岩田。顔面への蹴りを何度となく叩き込んで、敵地での勝利。これまで同期の橋本千紘が先を行っている印象だったが、ここで大仕事をやってのけた。

 さらに岩田は、センダイガールズのリングでのリマッチを要求。一時は抜け殻のような状態だった安納が戦意を取り戻すと、岩田はセンダイガールズのシングル王座をかけると宣言する。初のスターダム×センダイガールズ二冠戦だ。
 
 ワンダー王座防衛戦だけでなく二冠戦にした理由を、岩田は「自分への挑戦」だと語っている。守りに入りたくなかったと。またベルト奪還に燃える安納よりも踏み込んだ形で闘おうという意識も強かった。

 あるいはその心意気が、安納をさらに燃えさせたか。リマッチは安納の勝利となる。岩田の強烈な蹴りに耐え、しかし耐えるだけでは終わらない。"受け"の強さが魅力の安納だが、この試合では反撃に転じた際の迫力も光った。

 中野たむ、なつぽいら所属ユニット・コズミックエンジェルズのメンバーが全員セコンドにつく中、岩田の顔面に張り手を連打。勝負どころでは岩田の頭部を蹴りまくった。

 吹っ切れたような闘いぶりは、ジャーマン・スープレックス3連発にも表われていた。そこからベルトを失った自分を支えてくれた盟友なつぽいの得意技フェアリアル・ギフト(側宙プレス)へ。最後はジャパニーズ・オーシャン・スープレックスで3カウント奪取。今度は安納が二冠王となった。
 
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「安納サオリと岩田美香の関係性はずっと続く。だからこれからも闘おう」