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「裁定は気に入らない」日本の北京五輪フィギュア団体戦”銀メダル確定”に露スケート界は落胆「ワリエワのせいで金メダルの可能性ゼロだ!」

THE DIGEST編集部

2024.07.26

22年北京五輪のフィギュア団体戦で銅メダルだった日本は銀メダルに繰り上がることが確定した。(C)Getty Images

 念願のメダルが日本の手元へ届く。

 現地7月25日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は2022年北京五輪フィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(ロシア)がドーピング違反のため失格となった問題で、ロシア・オリンピック委員会(ROC)の控訴を棄却。これにより、団体戦で史上初の銅メダルを獲得した日本が銀メダルに繰り上がることが確定した。

 約2年半に及ぶ「メダル授与問題」に終着のメドが立った。今年1月、CASはワリエワに4年間の資格停止処分を認める裁定を下した。国際スケート連盟(ISU)はこの決定を受け、団体戦は米国が金メダル、日本が銀メダルに繰り上がると正式発表した。しかし、この裁定にROCが納得いかず控訴。金メダル授与を求めたが、CASがこの訴えを棄却したことにより、米国と日本の繰り上がりが確定した。なお、銅メダルを巡っては4位のカナダが3位への変更を求めて提訴したが、CASは裁定の時期を"保留"としている。

 ISUは同日に公式サイト上で「CASの決定を歓迎する」との声明を発表。メダル授与については、次のように明記している。

「ISUは本日のCASの決定に留意しており、これにより本件は最終決着に一歩近づき、すべてのスケーターは最終的に相応のメダルを受け取ることができる。ISUは、このプロセスにおける選手たちの忍耐と回復力に感謝の意を表する。 この決定を受け、ISUはメダル授与に関して国際オリンピック委員会(IOC)と調整を行なう」
 
 その一方で、金メダルの可能性が完全に途絶えたロシア側からは落胆の声が届いている。露フィギュア界の重鎮であるタチアナ・タラソワ氏は「銅メダルを獲得したという事実を受け入れなければならない」と現実を受け入れつつも、肩を落とした。

 同氏は地元スポーツチャンネル『Match TV』に「彼女(ワリエワ)が大会に参加したのだから、このような結果になったのは言うまでもありません。今回のような結果になることは明らかでした。私たちはこの裁定は気に入らないが、どうすることもできない。この事実を受け入れるしかないのです」と力なく答えた。

 また、同メディアのアナリストを務めるドミトリー・グベルニエフ氏は「ワリエワの決定のせいで、ロシアのスケーターは団体戦で金メダルを獲得するチャンスはなくなった」と、当時15歳の天才少女に責任を追及した。また、同氏は「カナダの提訴が残っていることを考慮すれば、今は銅メダルをキープしたい。団体戦での金メダルの可能性はゼロなのだ。ロシアスケート連盟の措置に拍手を送るしかない」と、無念さをにじませた。

 22年北京五輪のフィギュアスケート団体戦に出場した日本は男子ショートが宇野昌磨、フリーが鍵山優真で臨み、女子ショートが樋口新葉、フリーは坂本花織。ペアは三浦璃来&木原龍一組、アイスダンスは小松原美里&尊組のメンバーで戦い、日本フィギュア史上初の団体戦メダル獲得に貢献した。延期されていた団体のメダル授与式は、パリ五輪の期間中である8月上旬にパリで実施する方向である。

構成●THE DIGEST編集部

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