現地7月26日の午後7時半から、パリ五輪の開会式が実施される。日本時間では同27日の午前2時半からとなっており、夏の祭典の開幕まで刻一刻と迫っている。
今回の開会式は夏のオリンピック史上初めてスタジアムではなく、セーヌ川沿いで行なわれる。大会に出場する約1万人以上のアスリートを乗せた約100隻の舟がセーヌ川に沿って、アウステルリッツ橋からエッフェル塔の向かいの遊歩道・トロカデロへと進んでいく。この約6キロの道のりで、サン・ルイ島、ノートルダム大聖堂、ルーブル美術館などパリを代表する歴史的建造物の名所を巡り、終盤はエッフェル塔が並ぶ目的地に到着する。
ところが開会式直前になって、一部の海外メディアは警告を発している。オーストラリア最大のニュースサイト『ABC.net.au』は「パリオリンピックの開会式が史上最もユニークで、壮観で、最も危険なものになる理由」と題した記事のなかで、「オリンピック史上最も大胆な開会式は、これまでで最も危険を伴うものでもある。数週間にわたってパリ市内で展開され、土曜日の朝には前例のないレベルに達するであろう大規模な警備活動にもかかわらず、誰もイベントが滞りなく行なわれると完全に自信を持って予測することはできない」と言及している。
続けて、「セーヌ川沿いやその周辺地域では豪華なライトショー、アクロバット、音楽、ダンスのパフォーマンスが繰り広げられる。このような試みは過去の大会で行なわれておらず、スペクタクルな祭典として畏敬の念を抱かせるものになるのは想像に難くない」とセレモニーの一部は評価しつつも、「しかし、だ。安全性と華やかさの適切なバランスを取ることはそう容易ではない」と指摘している。
具体的な例として、この一大イベントに向けての数日間は式典会場の周囲には厳しい立ち入り禁止区域が設定されており、地元住民はセキュリティ境界線を通過して自宅に戻るためにQRコードが必要となる。すでにパリ中心部の混雑しているエリアは、フェンスで囲まれ厳重に警備された制限区域となっており、そこでは苛立ちを募らせた地元住民が混乱した観光客を押しのけて、自宅に入る権利を巡って「なぜだ!ここは私の家だ!」などと警察官と言い争うカオスな事態が起きていることも珍しくない。
「彼らはゲートでパスを見せたり、武装警官にQRコードをスキャンしてもらったりするが、警官たちはほとんどの時間を、なぜ彼らが川やエッフェル塔、トロカデロ、その他数多くのランドマークに近づくことができないのかを説明することに費やしている」
「もちろん大きな皮肉は、セーヌ川とパリにとって重要な式典を祝うために一定期間セーヌ川を街から完全に排除する必要があったことだ。川は数日間、ほとんど見えず、まったくアクセスできない状態だった。パリのその他の地域はオリンピックの準備の影響を受けていない。通りを左折すると、最も純粋で絵本のような街並みが目の前に広がっているのに」
さらに開会式当日のパリ周辺空域は夜間に6時間閉鎖され、セーヌ川沿いのクルーズは1週間前から中止となっている。加えて、エッフェル塔は2日間閉鎖され、ドローン対策が全域にわたって実施されるほどの徹底ぶりで、物々しい雰囲気だという。「手の込んだように聞こえるかもしれないが、それはそうしなければならないからだ。セキュリティ専門家の中には、今日に至るまで屋外での式典に警告を発している者もいるし、脅威が生じた際に方針変更が必要になる場合に備えて、いくつかの不測の事態を想定して準備されていたのも事実だ」と、関係者はそう答えている。
花の都で100年ぶりに開催されるオリンピックは緊迫した雰囲気のなか、いよいよ17日間の熱き戦いの幕開けを宣言する。
構成●THE DIGEST編集部
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今回の開会式は夏のオリンピック史上初めてスタジアムではなく、セーヌ川沿いで行なわれる。大会に出場する約1万人以上のアスリートを乗せた約100隻の舟がセーヌ川に沿って、アウステルリッツ橋からエッフェル塔の向かいの遊歩道・トロカデロへと進んでいく。この約6キロの道のりで、サン・ルイ島、ノートルダム大聖堂、ルーブル美術館などパリを代表する歴史的建造物の名所を巡り、終盤はエッフェル塔が並ぶ目的地に到着する。
ところが開会式直前になって、一部の海外メディアは警告を発している。オーストラリア最大のニュースサイト『ABC.net.au』は「パリオリンピックの開会式が史上最もユニークで、壮観で、最も危険なものになる理由」と題した記事のなかで、「オリンピック史上最も大胆な開会式は、これまでで最も危険を伴うものでもある。数週間にわたってパリ市内で展開され、土曜日の朝には前例のないレベルに達するであろう大規模な警備活動にもかかわらず、誰もイベントが滞りなく行なわれると完全に自信を持って予測することはできない」と言及している。
続けて、「セーヌ川沿いやその周辺地域では豪華なライトショー、アクロバット、音楽、ダンスのパフォーマンスが繰り広げられる。このような試みは過去の大会で行なわれておらず、スペクタクルな祭典として畏敬の念を抱かせるものになるのは想像に難くない」とセレモニーの一部は評価しつつも、「しかし、だ。安全性と華やかさの適切なバランスを取ることはそう容易ではない」と指摘している。
具体的な例として、この一大イベントに向けての数日間は式典会場の周囲には厳しい立ち入り禁止区域が設定されており、地元住民はセキュリティ境界線を通過して自宅に戻るためにQRコードが必要となる。すでにパリ中心部の混雑しているエリアは、フェンスで囲まれ厳重に警備された制限区域となっており、そこでは苛立ちを募らせた地元住民が混乱した観光客を押しのけて、自宅に入る権利を巡って「なぜだ!ここは私の家だ!」などと警察官と言い争うカオスな事態が起きていることも珍しくない。
「彼らはゲートでパスを見せたり、武装警官にQRコードをスキャンしてもらったりするが、警官たちはほとんどの時間を、なぜ彼らが川やエッフェル塔、トロカデロ、その他数多くのランドマークに近づくことができないのかを説明することに費やしている」
「もちろん大きな皮肉は、セーヌ川とパリにとって重要な式典を祝うために一定期間セーヌ川を街から完全に排除する必要があったことだ。川は数日間、ほとんど見えず、まったくアクセスできない状態だった。パリのその他の地域はオリンピックの準備の影響を受けていない。通りを左折すると、最も純粋で絵本のような街並みが目の前に広がっているのに」
さらに開会式当日のパリ周辺空域は夜間に6時間閉鎖され、セーヌ川沿いのクルーズは1週間前から中止となっている。加えて、エッフェル塔は2日間閉鎖され、ドローン対策が全域にわたって実施されるほどの徹底ぶりで、物々しい雰囲気だという。「手の込んだように聞こえるかもしれないが、それはそうしなければならないからだ。セキュリティ専門家の中には、今日に至るまで屋外での式典に警告を発している者もいるし、脅威が生じた際に方針変更が必要になる場合に備えて、いくつかの不測の事態を想定して準備されていたのも事実だ」と、関係者はそう答えている。
花の都で100年ぶりに開催されるオリンピックは緊迫した雰囲気のなか、いよいよ17日間の熱き戦いの幕開けを宣言する。
構成●THE DIGEST編集部
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