バレーボール男子日本代表が、初勝利を挙げたアルゼンチン戦で主将・石川祐希が見せた秘技に海外メディアも興奮を隠せないようだ。

　ドイツとの予選ラウンド初戦をフルセットの末に取りこぼしてしまった日本。現地７月31日に行なわれた２戦目のアルゼンチン戦は、高く掲げたメダル獲得の目標へ前進するために勝利絶対の試合だった。

【画像】「マジンガーブロックだ！」石川祐希がアルゼンチン戦でみせた頭脳的プレー 　いつになく緊張した面持ちでコートに立った日本は、オポジットの西田有志（５本）、アウトサイドヒッター高橋藍（２本）の圧巻エース７本などで試合を先行すると、第２セットは中盤の８点ビハインドを覆して連取。３セット目は譲ったものの、迎えた第４セットは終盤に猛攻へ転じた相手を抑え込んでセットカウント３－１で初白星を手に入れた。２戦合計の勝点を４としてプールCで米国を追走する２位、全体順位は決勝ラウンド進出圏内（８位）の６位につけた。

　その試合で注目を集めたのが、石川が第１セットに相手アタックの裏をかき、セットポイントを呼び込んだブロックだ。通常、両掌を大きく広げて敵の攻撃阻止を試みるブロック。攻撃側も指先などにボールを当ててコート外へ弾き飛ばすブロックアウトで対抗する。

　石川は両手を広げずに拳を作ってブロックに跳ぶと、アルゼンチンのアタックはその上を通過してラインを割り、セットポイントを呼び込んだ。

　イタリアで試合を中継した『EURO SPORT』の実況担当で最大手スポーツ紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』の記者ロドルフ・パレルモ氏は、これまで多くの選手がブロックで手を下げることはあったが、「グーのまま跳んでいるのは見たことない！」と大興奮だった。

　すると、解説者の元同国代表ミドルブロッカー（MB）パオロ・コッツィ氏は、同国でも人気を博す永井豪氏のロボットアニメのメインキャラクターが頭に浮かんだようで、フェイクセットに続くまるで漫画のような石川の新技を、「あのグーは、マジンガーZの拳だよ。"マジンガー"ブロック！」と命名。

　第４セット終盤に判定が物議を醸した場面でも、MB小野寺大志の左隣でその技を発動。バレー界では決して高くはない身長192cmは、ブロックアウトの標的になることも多い。ハイレベルなアタッカーだからこそ相手の狙いを見抜くことのできる石川の秘策に感心しきりだった。

　また、両氏は破壊力抜群の西田のサーブと攻撃、ミドル勢の小野寺と山内晶大の活躍、試合が進むにつれてギアを上げたアウトサイドヒッター高橋藍のパフォーマンスを高評価。とりわけ日本の生命線を担う司令塔・関田誠大の手腕を絶賛した。

　予選最終戦となる次戦で日本は、２戦全勝でプール首位の米国と激突。決勝ラウンド進出がかかる戦いは日本時間８月３日午前４時にスタートする。

構成●THE DIGEST編集部
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