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30歳で公務員を辞めてオランダへ。ホッケーの本場で地位を築いた日本代表、田中健太が描く東京五輪への青写真

中田徹

2020.01.16

最初は周囲からの冷ややかな視線を感じていた田中だが、結果を出して信頼を勝ち取っていった。写真:中田徹

最初は周囲からの冷ややかな視線を感じていた田中だが、結果を出して信頼を勝ち取っていった。写真:中田徹

 ホッケーの日本代表ストライカー、田中健太(31歳)はプロとしてオランダ1部リーグに所属するHGCでプレーしている。住まいはホームタウンのワッセナールにある寮。ここには日本人(佐々木萌)、オランダ人、オーストラリア人、アルゼンチン人、インド人、フランス人の仲間がいる。

「ハージート・シンは、インドがジュニア・ワールドカップで優勝したときのキャプテンで、映画が作られたほどインドでは有名人なんですが、その映画がきっかけでインド協会と揉めて代表チームに入れなくなり、うちのチームに来たそうなんです」と田中が教えてくれたエピソードからも、国によってはホッケーというスポーツが規格外の人気を誇ることが伝わってくる。

 こうした世界のスターが集うのがオランダリーグだ。和歌山県庁に務めていた田中は30歳にして公務員という安定した職を捨て、プロホッケー選手として2018−19シーズンにオランダに渡った。
 
 必ずしもホッケー強国ではない日本から田中がHGCに入団し、「なんで日本人がここにいるんだ!?」という空気を感じたという。指揮官、ポール・ファン・アスの起用法からも、「こいつを本当に使っていいのか」という半信半疑なものを田中は感じていた。
 
 田中自身にも遠慮みたいなものがあり、消極的にパスを出してしまうことが多々あり、ファン・アス監督からは「お前に求めていることは、そんなことじゃない」と叱責されたという。だが、ゴールやアシストを重ねていくことで監督やチームメートからの信頼を勝ち取り、さらにピッチ外でも仲間たちと積極的に付き合いを重ねることで親交も深まった。

 2年目の今季、HGCは3位という好順位でウインターブレークを迎え、田中は7ゴールを記録しリーグ得点王争いで11位、チーム内ではマイコ・カスティリャ(アルゼンチン代表。16ゴールで得点王争い首位)に継ぐ数字を残している。

「今は自分から仕掛けるプレーがハマり、毎試合、得点とかアシストに関与してます。監督と1対1で話し合うことも多く、『今のお前は、俺が求めていることが出来ている』と言ってくれて、信頼をすごく感じてます」

 ホッケーは15分のクオーター制だ。1年目は最初と最後の3分ずつプレーして、合間の9分間をベンチで休んでいたこともあった田中だったが、今は15分間フルにプレーすることも多い。

「フォワードの選手が1クオーターまるまるプレーするのは、本当にヤバいんですが、監督は『辛くなったら教えてくれ』と言われてます。自分のタイミングで交代してもらえるぐらい、信頼されるようになりました」
 

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