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モータースポーツ

F1の伝道師、今宮純氏が急逝。アイルトン・セナのレースで繰り出した記憶に残る名解説…

甘利隆

2020.01.12

日本のF1ブームをけん引した今宮純氏。優しい語り口と、冷静な解説でファンも多かった。写真:朝日新聞社

日本のF1ブームをけん引した今宮純氏。優しい語り口と、冷静な解説でファンも多かった。写真:朝日新聞社

 日本のモータースポーツ・ジャーナリストの先駆けとして、F1解説者として活躍した今宮純氏が、2020年1月4日朝、虚血性心疾患によって急逝した。

 同じくモータースポーツ・ジャーナリスト、翻訳家として活躍する雅子夫人によると、昨年末から少し体調を崩してはいたものの、亡くなる前日にも親族の集いに参加しており、「あまりに突然の出来事に、私共もまだ信じられない気持ちでおります」とのコメントを出した。すでに葬儀は1月10日に今宮氏の故郷である小田原の菩提寺にて近親者のみで執り行なわれ、後日、お別れの会が開催される予定だという。
 
 今宮氏は慶応義塾大学在学中から自動車専門誌にレース記事の寄稿を開始。1976年に富士スピードウェイにて日本初開催された「F1世界選手権イン・ジャパン」をはじめ、ル・マン24時間耐久レースやヨーロッパF2等を精力的に取材し、TBS系列で放送されていた全日本F2や“グラチャン”の愛称で当時人気の高かった富士グランチャンピオンシリーズの中継でピットレポーターも経験。WEC(世界耐久選手権)やインディ500の中継では解説を担当した。
 
 1987年、中嶋悟がロータス・ホンダから日本人初のフル参戦を果たすタイミングでフジテレビがF1全戦中継を地上波で開始すると、初年度から1995年を除く2002年まで解説者を務め、古舘伊知郎、三宅正治らの実況と対照的な優しい語り口で日本におけるF1ブームをけん引する。2003年以降は、CSチャンネルでその魅力をファンに伝えていた。1994年サンマリノGPでアイルトン・セナの死を生中継で伝え、「再来週のモナコGPにセナはいませんが、F1は続いていくわけです」と涙ながらにコメントする姿が印象に残る。

 昨年12月30日には自身の公式Twitterで「長い19年シーズン、F1LOVERS皆様からのサポート、ありがとうございました。20年は『もっと長い22戦』です。F1選手権開始の1950年は7戦、70年後に3倍増(!)。やる方も、走る方も、見る側もいろいろプレッシャーが。<質より量を好むUSA>、伝統とかにもこだわりますね。よいお年を。」と投稿し、残念ながらこれが最後の投稿となった。

 突然の訃報に悲しむファンたちも多いが、F1を心から愛し、伝道師として追いかけ続けてきた今宮氏なら、今頃我々にこう語りかけるのではないだろうか。

「Show Must Go On……それでもF1は続いていく」と。


文●甘利隆
著者プロフィール/東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter:ama_super
 
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