格闘技・プロレス

最終日札止めにならずも各会場は大熱狂!ドーム満員へ求められる海野翔太ら日本人新世代の台頭――今年の「G1」に見えた新日本プロレスのいま

どら増田

2024.08.25

ザックの優勝で幕を閉じたG1だが、海野(写真)をはじめとする新世代のさらなる台頭が今後の新日本のカギを握りそうだ。写真:新日本プロレスリング

 新日本プロレス真夏の最強戦士決定戦『G1クライマックス34』はザック・セイバーJr.の初優勝という結果に終わった。

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 各会場は満員や札止めマークがついた大会は少なく、特に最終戦が8056人を動員したにもかかわらず、満員マークがつかないことに驚いた。コロナ禍前は両国国技館や日本武道館で開催された最終戦はカードが未発表でも前売り段階で完売しており、3連戦の他の2大会もかなり集客できていただけに、最終戦のチケットが完売しなかったのは残念だ。

 来年は週末開催となる1.4、そしてAEWやCMLL、スターダムなどと開催する1.5東京ドーム大会を超満員に埋め尽くしたいという思いを抱いている棚橋弘至社長がここからどう巻き返しを図って、コロナ禍以前のファンや新規ファンを東京ドームに動員していくのか注目したい。

 しかし、集客に苦しむ会場があったものの、各大会ともに『G1』らしい熱量を生み出していたのは確かだ。昨年は史上最多32名参加による13年ぶりの4ブロック制、公式戦は20分1本勝負にして、最後まで決勝進出者がわからないような展開だったが、ファンや選手から否定的な発言などがあったこともあり、今年は20名参加による2ブロック制、公式戦の時間も30分1本勝負に戻された。

 今年は、海野翔太、辻陽太、上村優也、グレート-O-カーン、成田蓮にAEW/DDTから参戦したKONOSUKE TAKESHITAといった若い日本人選手がどこまで台頭するのか注目されていた。また今大会は各ブロック3位までに入れば決勝トーナメント進出が決まるため、こうした新世代の選手たちにはチャンスが広がっていたのだが、この中から決勝トーナメントに進んだのは辻、オーカーン、TAKESHITAの3選手のみ。決勝の舞台には春の最強決定トーナメント『NEW JAPAN CUP 2024』を制し、史上初の春夏連覇を狙う辻が上がったが、ザックに敗れてしまい新世代がこの『G1』で台頭したとは言い切れない結果になってしまった。

 外国人選手も含めて新世代が一気に出場した反面、出場者決定予選トーナメントに回った棚橋、小島聡、石井智宏、矢野通、YOSHI-HASHI、矢野通、KENTA、高橋裕二郎は落選となっている。世間的な知名度のあるこれらの選手がエントリーしなかったことで、新世代中心のカードが多数実現したわけだが、内藤哲也、鷹木信悟とともにベテラン勢で出場した後藤洋央紀が新世代の大きな壁として奮闘する姿は各会場を盛り上げていた。

 これは新日本が棚橋エース路線やオカダ・カズチカがトップになった頃もそうだったが、新世代がしっかり台頭するには「俺がこの会社を食わせる」という気持ちを背負えるかが鍵になってくる。アントニオ猪木、藤波辰爾、長州力、闘魂三銃士、永田裕志ら第三世代、そして棚橋、オカダ、内藤と受け継がれて来た「会社を背負える」新世代の台頭が今の新日本には求められているのではないだろうか。
 
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