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格闘技・プロレス

「中途半端な終わり方になった」井上尚弥が”不完全燃焼”を吐露。試合当日11キロ増ドヘニーは「びっくりするほどではなかった」

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2024.09.04

井上は予想もしない幕切れに終わったドヘニー戦を振り返った。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

井上は予想もしない幕切れに終わったドヘニー戦を振り返った。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

 9月3日、東京・有明アリーナで行なわれたボクシングの世界スーパーバンタム級4団体王座統一防衛戦で同級王者の井上尚弥(大橋)が挑戦者である元IBF同級王者のテレンス・ジョン(TJ)・ドヘニー(アイルランド)を7回14秒TKOで撃破し、4団体のベルトを守った。自身の持つ日本人世界戦連続KO記録を「9」に伸ばし、プロ戦績は28戦28勝(25KO)と無敗伝説をキープした。

 序盤はお互いが相手を警戒する静かな立ち上がりだったが、徐々にモンスターの手数が増えていき、足を使いながら小刻みなジャブ、そしてボディに鋭く「ドスっ」という重いストレートパンチを浴びせ、元世界王者にダメージを蓄積させていく。

 そして井上が7回に入り、攻撃のスイッチを強めたところで、ドヘニーが急に顔をゆがめて腰を押さえた。右足を引きずるような仕草を見せ、これを見たレフェリーが試合をストップ。まさかの結末に会場も「え~!」と騒然とするなか、無敵の日本人王者の勝利を告げるゴングが鳴り響いた。
 
 試合後の会見で井上は、「内容的には、これからというところだった。こうなってしまったのは仕方ない」と率直な気持ちを吐露。予想もしなかった幕切れについては「(ドヘニーの)あのままのリアクションを受け止めましたね。自分が理想としていた終わり方ではないので。見に来てくれたファンの方もそうだと思うけど、中途半端な終わり方になってしまった」とコメントした。

 前回のルイス・ネリ(メキシコ)戦では1回にプロ初のダウンを奪われたこともあり、この試合の序盤はいつも以上に慎重に入った。「今回はそういうテーマというか、入りをしようと思ったので」と説明。当日体重は井上が62.7キロ(前日55.3キロ)、ドヘニーは66.1キロ(同55.1キロ)でリングに上がり、元世界王者は前日から11キロも増やしてきた。警戒していた相手のパンチ力やパワーは「多少感じましたけど、びっくりするほどではなかった」と言い、「相手あってのボクシング。あの相手に自分としては丁寧に最善を尽くせたと思っている」と振り返った。

 試合前の記者会見では「変わったボクシングをしたい」とも語り、KOだけでなく判定決着も見据えた新しいスタイルを試みようとした。理想とした決着ではなく、不完全燃焼を認めるような戦いとなったが、いずれにせよ、ドヘニーの体を破壊し試合続行が不可能になるほど、恐ろしい威力を示したことは確か。モンスターたる凄みを垣間見せた。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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