バレーボール男子日本代表の主将・石川祐希が出場したプレシーズンマッチの現地取材・決勝編。先発フル出場で勝利を収めた準決勝の翌日に行なわれたこの試合で、石川は自らも納得の活躍を披露し、新たな進化への扉が待つイタリア10シーズン目へ、確かな一歩を踏み出した。
現地9月14日と15日にイタリア中部マルケ州のイェージ市で開催された『第2回イェージ・バレーカップ』は、石川が新天地に選んだシル スーサ ヴィム・ペルージャがルーベ・チヴィタノーヴァをセットカウント3-1で下して優勝。1週間前にポーランドで行なわれた『ボグダンカ・バレーカップ』での栄冠に続き、プレシーズン大会を4戦全勝で締めくくった。
フランスリーグから参戦したトゥールとの準決勝で、石川は開始からコートに立ち勝利をもたらしたが、選手コンディションの見極めが必要なシーズン開幕前とあって、決勝はベンチスタート。ペルージャは1セット目を落とした後、第2セットも序盤から追う展開が続く。ビハインドが3点にまで開いた終盤の入り、オポジットのワシム・ベンタラ(チュニジア)に替わって起用された石川は、レフトからのブロックを弾いて1点差の接戦に持ち込む。
さらに、ブロックに当てたボールが相手コートに落ちて同点。直後のサーブでエースを打ち込み23-22と逆転に成功する。石川がチャンスを呼び込んだペルージャだったが、僅差でチヴィタノーヴァに2セット目を献上。しかし、見事な巻き返しでフルセットへ持ち込み、最終セットは後半にギアを上げてリードをキープしたままマッチポイントを握る。そこで石川が決勝点を託されコートイン。レフトから電光石火のストレート弾を叩き込んで優勝を決めた。
ペルージャでは、6季目のウクライナ代表オレ・プロトニツキと2季目のポーランド代表カミル・セメニウクが石川と同じポジション、アウトサイドヒッター(OH)を担う。だれがスターティング・シックスを勝ち取るのかは、現地でも注目の的だ。アンジェロ・ロレンツェッティ監督は3選手の起用法について、大会の数日前に、「現時点でスターターを固定するつもりはない。まだ選抜に至るデータが十分ではないからだ」として論争を一掃。「シーズンを戦い切る上で、3人それぞれが安定して高い水準を保つことで、チームのレベル維持につながる」と方針を述べ、先々の事情によっては変更が必要になることもあり得るとしている。
石川は準決勝後に、「監督は今、だれを起用するかを見ているところだと思うので、その中でしっかりパフォーマンスを出せる準備だけはしなければいけない」と述べた通り、この日は途中からコートに入り、前半に逆転劇を演出し、さらに任された決勝点を一発で仕留めてみせた。前日は、「良い時と上がり切っていない時があって波があるので修正したい。まだ探り探りの状態でもう少し時間が必要」と自己評価した石川だったが、限られた時間で結果とインパクトを残した自身のパフォーマンスに、「個人としてはしっかり力を出すことができた。チャンスがある中でやるべきことはやって、そのチャンスをしっかりつかんだと思います」と及第点をつけた。
コートサイドで準備に余念がなかったのは自分の判断か、それとも指示があったのかを尋ねると、「5セット目は監督から(途中起用を)言われてました。3、4セットは点差が離れていたので自分で身体が冷えない程度に。1セット目は(流れが)悪くても交代はないだろうなと思っていたんです。2セット目は始まった時に『準備しておけよ』と言われていたので、しっかりアップしました。5セット目もチームの出だしがあまり良くなく、(起用は)その前から言われていたので準備して、たぶんローテーションがS1の時に出ることになるだろうなと。交代は予想通りのタイミングでした」と舞台裏を明かしてくれた。
「他のOHの2選手に、これだけは負けないと思うことは?」との質問には、「いやぁ、まだ分かんないですね。一緒にやって1か月も経ってなくて、まだ(公式の)試合ではないので。でも、勝負どころというか、今日の2セット目のようなところでしっかり活躍できる自信はあるので、どのような状況でもコンスタントに力を発揮できるようにすることが課題だと思っています」と回答。ちなみにセメニウクとはドレッシングルームで隣同士だという。これからどんな会話が交わされるのか気になるところだ。
そして、話題はイタリアの真ん中に位置し、緑のハートと呼ばれる自然に囲まれたペルージャでの新生活へ。「余計なものがないというか(笑)、バレーボールにしっかり集中できる環境です。自然が多いのでゆったりでき、ミラノとは本当に違った感じです。チェントロ(旧市街地)にも行きましたけど、歴史を感じる建物だったり良い街だなと思っています。ペルージャに来てまだ1か月も経ってないんですけど、もう2、3か月も前からいるような雰囲気でやらせてもらってますよ」とコート外も順調な様子。渡伊前にすでに決めてあったという新居も気に入っているそうだ。
現地時間の9月21日と22日、今季初の公式戦となるスーペル・コッパが開催される。連覇を狙うペルージャは、初日の準決勝でガス セールズ ブルーエナジー・ピアチェンツァと対戦。背番号14の楽しみな新章がいよいよ幕を開ける。
文●佳子S・バディアーリ
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現地9月14日と15日にイタリア中部マルケ州のイェージ市で開催された『第2回イェージ・バレーカップ』は、石川が新天地に選んだシル スーサ ヴィム・ペルージャがルーベ・チヴィタノーヴァをセットカウント3-1で下して優勝。1週間前にポーランドで行なわれた『ボグダンカ・バレーカップ』での栄冠に続き、プレシーズン大会を4戦全勝で締めくくった。
フランスリーグから参戦したトゥールとの準決勝で、石川は開始からコートに立ち勝利をもたらしたが、選手コンディションの見極めが必要なシーズン開幕前とあって、決勝はベンチスタート。ペルージャは1セット目を落とした後、第2セットも序盤から追う展開が続く。ビハインドが3点にまで開いた終盤の入り、オポジットのワシム・ベンタラ(チュニジア)に替わって起用された石川は、レフトからのブロックを弾いて1点差の接戦に持ち込む。
さらに、ブロックに当てたボールが相手コートに落ちて同点。直後のサーブでエースを打ち込み23-22と逆転に成功する。石川がチャンスを呼び込んだペルージャだったが、僅差でチヴィタノーヴァに2セット目を献上。しかし、見事な巻き返しでフルセットへ持ち込み、最終セットは後半にギアを上げてリードをキープしたままマッチポイントを握る。そこで石川が決勝点を託されコートイン。レフトから電光石火のストレート弾を叩き込んで優勝を決めた。
ペルージャでは、6季目のウクライナ代表オレ・プロトニツキと2季目のポーランド代表カミル・セメニウクが石川と同じポジション、アウトサイドヒッター(OH)を担う。だれがスターティング・シックスを勝ち取るのかは、現地でも注目の的だ。アンジェロ・ロレンツェッティ監督は3選手の起用法について、大会の数日前に、「現時点でスターターを固定するつもりはない。まだ選抜に至るデータが十分ではないからだ」として論争を一掃。「シーズンを戦い切る上で、3人それぞれが安定して高い水準を保つことで、チームのレベル維持につながる」と方針を述べ、先々の事情によっては変更が必要になることもあり得るとしている。
石川は準決勝後に、「監督は今、だれを起用するかを見ているところだと思うので、その中でしっかりパフォーマンスを出せる準備だけはしなければいけない」と述べた通り、この日は途中からコートに入り、前半に逆転劇を演出し、さらに任された決勝点を一発で仕留めてみせた。前日は、「良い時と上がり切っていない時があって波があるので修正したい。まだ探り探りの状態でもう少し時間が必要」と自己評価した石川だったが、限られた時間で結果とインパクトを残した自身のパフォーマンスに、「個人としてはしっかり力を出すことができた。チャンスがある中でやるべきことはやって、そのチャンスをしっかりつかんだと思います」と及第点をつけた。
コートサイドで準備に余念がなかったのは自分の判断か、それとも指示があったのかを尋ねると、「5セット目は監督から(途中起用を)言われてました。3、4セットは点差が離れていたので自分で身体が冷えない程度に。1セット目は(流れが)悪くても交代はないだろうなと思っていたんです。2セット目は始まった時に『準備しておけよ』と言われていたので、しっかりアップしました。5セット目もチームの出だしがあまり良くなく、(起用は)その前から言われていたので準備して、たぶんローテーションがS1の時に出ることになるだろうなと。交代は予想通りのタイミングでした」と舞台裏を明かしてくれた。
「他のOHの2選手に、これだけは負けないと思うことは?」との質問には、「いやぁ、まだ分かんないですね。一緒にやって1か月も経ってなくて、まだ(公式の)試合ではないので。でも、勝負どころというか、今日の2セット目のようなところでしっかり活躍できる自信はあるので、どのような状況でもコンスタントに力を発揮できるようにすることが課題だと思っています」と回答。ちなみにセメニウクとはドレッシングルームで隣同士だという。これからどんな会話が交わされるのか気になるところだ。
そして、話題はイタリアの真ん中に位置し、緑のハートと呼ばれる自然に囲まれたペルージャでの新生活へ。「余計なものがないというか(笑)、バレーボールにしっかり集中できる環境です。自然が多いのでゆったりでき、ミラノとは本当に違った感じです。チェントロ(旧市街地)にも行きましたけど、歴史を感じる建物だったり良い街だなと思っています。ペルージャに来てまだ1か月も経ってないんですけど、もう2、3か月も前からいるような雰囲気でやらせてもらってますよ」とコート外も順調な様子。渡伊前にすでに決めてあったという新居も気に入っているそうだ。
現地時間の9月21日と22日、今季初の公式戦となるスーペル・コッパが開催される。連覇を狙うペルージャは、初日の準決勝でガス セールズ ブルーエナジー・ピアチェンツァと対戦。背番号14の楽しみな新章がいよいよ幕を開ける。
文●佳子S・バディアーリ
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