競馬

初挑戦から55年、またも跳ね返された凱旋門賞の高くぶ厚い壁。エルコンドルパサー、オルフェーヴルにあってシンエンペラーに足りなかった“アウェー克服スキル”

THE DIGEST編集部

2024.10.09

重馬場を物ともせず、ブルーストッキングが凱旋門賞を制した。(C) Getty Images

 秋の欧州競馬を締め括るビッグレース、凱旋門賞(仏G1、芝2400m)が10月6日、重馬場となったロンシャン競馬場で行なわれ、ヴェルメイユ賞(牝G1、ロンシャン・2400m)を制して臨んだブルーストッキング(牝4歳/英・R.ベケット厩舎)が道中3番手から抜け出して優勝。2着には、ヴェルメイユ賞2着のアヴァンチュール(牝3歳/仏・C.フェルラン厩舎)が追い込み、牝馬のワンツー・フィニッシュとなった。3着には愛ダービー馬のロスアンゼルス(牡3歳/愛・A.オブライエン厩舎)が逃げて粘り込んだ。

 一方、今年日本から単騎参戦したシンエンペラー(牡3歳/栗東・矢作芳人厩舎)は中団を進んだが、直線で伸びを欠いて12着に敗れた。また、ベルリン大賞(G1、ホッペガルテン・芝2400m)を勝ち、武豊騎手を鞍上に迎えて出走したアルリファー(牡4歳/愛・J.オブライエン厩舎)も、後方から脚を伸ばせず11着に終わった。

 一時は回復に向かうかと思われたロンシャンの馬場状態だが、当日はシトシトと小雨が降り続く生憎の天候となり、「重」でもかなりタフなコンディションに。これがシンエンペラー&坂井瑠星騎手、アルリファー&武豊騎手にとって、欧州の牙城を崩すには高すぎる壁となった。
 
 レース前の評価は割れに割れた。日本での馬券発売(JRAプール)では、1番人気がパリ大賞(G1、ロンシャン・芝2400m)勝ち馬のソジー(牡3歳/仏・A.ファーブル厩舎)〔4.2倍〕、2番人気がブルーストッキング〔5.6倍〕、3番人気がシンエンペラー〔6.3倍〕、4番人気が仏ダービー馬のルックドゥヴェガ(牡3歳/仏・C&Y.レルネール厩舎)〔6.5倍〕、5番人気がアルリファー〔8.0倍〕となっていた。

 一方、レーシングポスト提供のデータによると、1番人気に推されたのは、日本では6番人気〔9.0倍〕のロスアンゼルス〔4.5倍〕。2番人気以下は、ソジー〔5.0倍〕、ルックドゥヴェガ〔5.5倍〕、シンエンペラー〔6.5倍〕、アルリファー〔8.0倍〕、ブルーストッキング〔8.0倍〕となっていた。圧倒的な人気を得る馬は不在で、上位人気馬は実力伯仲の混戦模様というのが大方の見方だった。
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