格闘技・プロレス

「屈辱的だ」井上尚弥に壮絶KO負け。モンスター討伐に失敗したキム・イェジュンが強さに衝撃「試合を受け後悔している」

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2025.01.25

キム・イェジュン(奥)は井上(手前)の右ストレートを浴び、キャリア初のKO負けを喫した。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 プロボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一戦が1月24日に東京・有明アリーナで行なわれ、王者・井上尚弥がWBO同級11位キム・イェジュンを4回にKOで撃破し、3度目の防衛に成功した。一方で、敗北を喫した韓国人ボクサーは悔し涙を流しながらリングを去った。

 対日本人ボクサーは7戦全勝とカモにしていた「日本人キラー」は、モンスターの高い牙城を崩すことなくリングに沈んだ。サウスポー気味に構えていたキムは2回に井上の顔面を捉えるパンチを打ち込むなど、終始カウンターに徹した。

 しかし、3回以降は井上の鋭く重いパンチを顔やボディに被弾。左目を腫らすと、ギアを一段階上げた王者に下から上へ流れるようなワンツーをもらう。劣勢な展開だったが、32歳のファイターは「来い!」とモンスターを挑発するジェスチャーをして気持ちの強さをみせるも、その姿に火が付いた井上がすぐさま左ジャブ、そして右ストレートを発射。キムの顔にクリーンヒットすると、膝から崩れ落ちて苦悶の表情を浮かべた。

 結局キムは立ち上がることができず、試合続行不能と判断したセコンドがタオルを投入し、モンスターの勝利を告げるゴングが会場に鳴り響いた。

 キャリア初のKO負けを喫したキムは茫然自失な表情を見せ、セコンドから労いの言葉をかけられると涙が頬を伝った。だが花道を去るときには、急きょ代役を引き受けた韓国人ボクサーのファイトに約1万3000人の観客から大歓声が送られた。
 
 試合後、キムは左目の下を大きく腫らせながら登壇。「当然、試合に勝つためにここに来ました。今の気持ちとしては屈辱的だと思ってます」と肩を落とした。絶対王者との試合を受けたことには、「半分冗談であり、半分本音」と前置きしつつ、「後悔している」と悔しさをにじませた。また、対峙した井上のパンチについては、「どうすればうまく当たるのかをよく知っている。研究してたよりも速くて強かった」と、そのパワフルさと破壊力の大きさに脱帽した。

 11年ぶりに実現した日韓決戦で母国にベルトを持ち帰ることはできなかったキムは、「機会があればどこでも行って試合をしたいと思います。招待をしてくだされば、ぜひまた日本での試合を望みたいと思います」と、日本でのリベンジマッチを希望した。

 千載一遇のチャンスを得て番狂わせを狙ったが、モンスターの凄さは想像をはるかに超える衝撃的強さだったようだ。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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