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前回女王・千葉百音を襲った突然の“異変”。最悪コンディションも『4分間』を完走した姿に海外記者は同情「見てて可哀想だった」【フィギュア四大陸選手権】

THE DIGEST編集部

2025.02.23

千葉は体調不良を起こしながらFSを滑り切った。(C)Getty Images

 韓国のソウルで開催しているフィギュアスケートの四大陸選手権は2月23日に女子フリーが行なわれ、前回女王の千葉百音がまさかの失速。6位に終わり、ショート2位から逆転での大会連覇を逃した。そのほかの日本人選手では樋口新葉が5位、松⽣理乃は11位となり、男子と合わせて日本は18年ぶりにメダルを逃した。
【画像】体調不良もフリーを完走…椅子に座りながら取材に答える千葉百音

 女王に"異変"が起きていた。千葉はフリー当日の公式練習に姿を現さなかった。最終グループの公式練習は午前10時(現地時間)に終了し、競技開始は午前11時25分(同)からと間隔は短く、ほぼ「ぶっつけ本番」のような状況だった。

 日本スケート連盟の関係者によれば、宿泊するホテルと会場がやや離れており、公式練習後に宿へ戻ることが難しく、「コンディション調整を優先したい」との理由だったようだ。

 20番滑走で登場した千葉は冒頭の連続ジャンプは着氷したが、続く3回転サルコウで転倒。スピードに切れがなく、レベルも取りこぼすほどこの日は安定感が欠けた。表情もどこか暗く、明らかに精彩を欠く内容で演技直後はガクッと氷上に両膝をつく場面も。観客の声援になんとか応えたが、リンクを降りるとコーチである濱田美栄氏に寄りかかるほど体はフラフラだった。
 
 キスアンドクライでは毅然とした表情で伸び悩んだ得点を見届けた千葉。フィギュアスケート専門メディア『Golden Skate』によると、昨晩から体調不良だったことが明らかになった。

「体調が悪い中で演技をするというのは、今まであまり考えたことがなかったので、とても貴重な経験になった。自分ではどうしようもないこともあるけれど、それでもその状況下で演技をしなければならなかったです。でも、すぐに良くなると思います。(3月の)世界選手権に向けては、とにかくトレーニングを続けて、健康や環境など、他にも考慮しなければならない要素があることを自覚する必要があります」

「4分間があっという間でした。ジャンプに集中していたし、転倒もあったけど、それをやり遂げることができました。(朝の公式練習を欠場したが)参加することに迷いはなかったですし、辞退しようとも思わなかった。出場するためにここに来たし、それができたから満足しています」

 日本人スケーターの回答には、海外記者から労いのコメントが届いている。カナダ紙『The Globe and Mail』の元記者で、フィギュアスケートを中心にオリンピック関連の記事を執筆しているビバリー・スミス氏は「昨年の四大陸女王であるモネ・チバは、見てて可哀想だった。前夜に体調を崩し、ショート2位から7位(総合6位)でフィニッシュした。彼女は終わった途端に膝をつき、コーチが彼女を氷上から降ろさなければならないほど、疲労困憊していた」と演技直後の状況を説明。最悪のコンディションで臨まなければならなかった19歳のスケーターに同情の念を寄せた。

 予期せぬアクシデントで表彰台を逃した千葉だが、今大会の苦い経験を糧に米国・ボストンでの世界選手権では逆襲を誓っている。

構成●THE DIGEST編集部

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