２月24日、プロボクシング興行「Prime Video Boxing11」が東京・有明アリーナで行なわれ、WBC世界バンタム級王者の中谷潤人が同級６位のダビド・クエジャル（メキシコ）と対戦し、３回に左右のコンビネーションから鮮やかなKO勝ちで３度目の王座防衛を果たした。これで中谷はプロ通算30連勝と、無敗街道をさらに伸ばした。
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　まさに電光石火の決着だ。３回に中谷が左ボディをあてると、そこへ追撃の左ストレートを放ち、クエジャルがリングに沈んだ。なんとか立ち上がった挑戦者だが、無敗の王者は一気に攻め立て、最後は豪快な左フックを一閃。このラウンド２度目のダウンを奪うと、目がうつろなメキシコ人ファイターは戦意を喪失。もう立ち上がる力は残っておらず、10カウントがリングに鳴り響いた。

　衝撃的かつ豪快なKO劇で相手を叩きのめした中谷。新愛称「ビッグバン」という異名通り、あっという間の決着に会場からはどよめきが起きた。試合後、最強王者は「皆さん、ビッグバン見られましたか？」と呼びかけると、有明アリーナは大きな歓声が上がった。さらに、IBFバンタム級王者の西田凌佑がリングに上がると、「西田選手、やりましょう」と声をかけ、両者はグータッチ。夢の統一戦をファンに約束した。
  　一方で、これがプロキャリア初黒星となったクエジャルは茫然自失といった表情で肩を落とし、リングを降りた。無理もない。これまで28戦28勝（18KO）を誇り、一度もダウンしたことがない絶対的な自信を持っていたメキシコ人ファイターは、意気揚々と無敗の日本人王者と拳を交えたが、わずか３ラウンドで無敗伝説が崩れた。

　敗戦のショックだろうか、クエジャルはボクシングでは恒例となっている試合後の記者会見には現れず、なんとこれを拒否。関係者によると、「本人の意向により、記者会見は行なわれないことになりました」と報道陣に説明があった。

　日本が世界に誇る「ビッグバン」の衝撃はメキシコ人ボクサーの闘争心まで、粉々に打ち砕いてしまったようだ。

取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）

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