スキージャンプ界に激震が走る“不正スキャンダル”が発覚した。
現地3月9日、国際スキー・スノーボード連盟(FIS)はノルディックスキー世界選手権でノルウェーの代表選手2人がスーツの規定違反で失格になったことについて、ノルウェースキー連盟がスーツを故意に加工する不正を行なっていたことを電撃発表した。開催国の前代未聞の不祥事に海外メディアからは非難の声が上がっている。
【動画】ノルウェースキー連盟が組織的に“スーツの不正加工”した実際の映像
ノルウェーの公共放送局『NRK』によると、同国スキー連盟のジャンプ責任者であるヤンエリク・オールブ氏は記者会見で、ラージヒル競技の前日に2人のスーツを意図的に改造する不正をチームが行なったことを明らかにした。
現地での報道によれば、「スーツの安定性を高め、パフォーマンスを向上させるために余分な縫い目が縫い付けられた」と指摘されている。また、スーツが改造されている様子を撮影したビデオも報告されているようだ。同責任者は「規定違反だと承知していたが、見つからないと確信して行なった」と釈明。「我々を含むジャンプを愛する人々を失望させてしまった」と謝罪した。
ノルウェーは今大会で男女合わせて3つの金メダルと3つの銅メダルを獲得し、ジャンプ強豪国として存在感を大いに発揮した。ところが、同国がスーツを不正に縫い直しているような映像が出回り、FISに3カ国から抗議が寄せられていた。試合前のチェックでは判明しなかったが、競技後の再検査で規定に沿っていない素材が縫い目から見つかった。
欧州スキー専門メディア『nordicmag』は「ラージヒル競技に激震!ノルウェーの不正行為を非難」と大々的に報じており、「この北欧国はFISの規定に従わないスーツで競技に臨んでいた。彼らは故意に改良を加えて世界中から批判が集中している」とノルウェーチームの行為を断じた。真っ先にノルウェーに対して抗議を表明したオーストリアのスポーツディレクターを務めるフロリアン・リーグル氏は「ビデオを見れば、スーツが操作されていることがはっきりと分かるだろう」と不正を追及している。
スーツを巡っては、2022年北京五輪でサイズが規定よりも大きかったとして日本の高梨沙羅を含む女子5人が失格になったケースがあり、当時は大きな波紋を呼んだ。
26年ミラノ・コルティナ五輪まで1年を切ったなか、スキージャンプ強豪国が地元開催の世界選手権で犯した組織的な不正スキャンダル。その動揺は決して小さくない。
構成●THE DIGEST編集部
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