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格闘技・プロレス

「最後まで笑って終われる試合にしたいなって」紆余曲折の人生を歩んだ異色の女子プロレスラー、清水ひかりの引退興行に込めた想い

橋本宗洋

2025.03.15

「文化放送プロレス」のメインで闘ったウナギ・サヤカ(左)と清水ひかり(右)。写真:橋本宗洋

「文化放送プロレス」のメインで闘ったウナギ・サヤカ(左)と清水ひかり(右)。写真:橋本宗洋

 3月4日、初の試みとなる大会が開催された。ラジオ局・文化放送のホールを使った「文化放送プロレス」。メインイベントはウナギ・サヤカと清水ひかりのシングルマッチだ。

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 3月16日に引退を控えている清水は高校卒業後、京都でバスガイドをしていたこともある異色のレスラー。とにかく歌うことが好きで「歌いながらできる仕事は何か」と考えたそうだ。親に甘えて歌やダンスの専門学校に行くより、まず自活したいという思いもあった。
 
 その後、東京でダンスボーカルユニットに所属しライブ活動を開始。その中で知り合った仁科鋭美に誘われ“女優によるプロレス”を標榜するアクトレスガールズへ。プロレスの知識はなかったが、同じ団体だった中野たむの試合を見て「こんなに心を動かされるものがあるのか」と自身もプロレスラーになることを決意した。

 2017年にデビューし、2022年からは団体の方針変更に伴い独立。SAKI、網倉理奈、櫻井裕子とのフリーランスユニット「COLOR'S」で活動する。SAKIとのタッグではWAVEタッグ王座の最多防衛記録を作った。

 結果を出し、自信を持ってからの清水の試合は所属するCOLOR'Sと同じで明るく、肯定的な雰囲気に満ちていた。きつい言葉を使った舌戦や乱闘ではなく、時には笑いもある攻防で観客を笑顔にさせるプロレスだ。

 昨年、首の負傷による長期欠場から復帰したものの、定期的な検査の中で再びドクターストップ。「お医者さんに、完治するのは60歳と言われました」と清水。無念の引退だが、4月以降もプロレスに何らかの形で携わり、COLOR'Sを中心に選手たちをサポートしていきたいと言う。それだけ、彼女の人生の中でプロレスは大きな存在になっていた。

 ウナギとの試合は劣勢の展開。文化放送プロレスはウナギのプロデュースだけに、最後は勝ってウナギが締めると予想したファンも多かったはずだ。

 スライディング田中(スライディングD)を食らって大ピンチとなった清水だが、敗戦寸前に「最後にゴムパッチンだけやらせて」と謎のお願い。そしてゴムパッチンを里村明衣子にも決めたウナギの得意技(?)を逆にヒットさせ、そこからキューティースペシャルで大逆転勝利を収めた。

 呆気に取られるウナギと観客に、清水は「勝てばいいんだよ」と会心のマイク。正攻法の実力勝負だけがプロレスではない。そのことを知って清水はレスラーとしてたくましくなったのだ。
 
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