モータースポーツ

伝統の”ラリー・モンテカルロ”でヒュンダイが逆転優勝! トヨタのオジエとエバンスはダブル表彰台

甘利隆

2020.01.30

優勝はヒュンダイ。2、3位がトヨタの世界戦略車、ヤリスとなった、ラリー・モンテカルロ。(C)TOYOTA MOTOR CORPORATION.

 WRC(世界ラリー選手権)の2020年第1戦となる『ラリー・モンテカルロ』が1月26日に最終日を迎え、ヒュンダイ i20クーペ WRCを駆るティエリー・ヌービルが総合優勝した。ベルギー人ドライバーの同ラリー優勝は、1973年にFIA(国際自動車連盟)によって世界選手権の1戦として開催される以前、1924年のジャック・エドワール・レドゥア以来の快挙となる。

 前年ドライバース・チャンピオンを獲得したTOYOTA GAZOO Racing WRT(World Rally Team)陣営は、セバスチャン・オジエが総合2位、エルフィン・エバンスが3位でダブル表彰台を獲得。フォルクスワーゲン、フォード、シトロエンとマシンを変えながら2014年から続いていたオジエのモンテカルロ連勝は6でストップした。

 モナコ、フランスを舞台に競われる『ラリー・モンテカルロ』は、ドライ、ウェット、雪、凍結と路面コンディションが目まぐるしく変化するシリーズ屈指の難イベント。『インディ500』が初めて開催されたのと同年の1911年が初開催で、いわゆる"世界3大レース"に匹敵する格式を誇る。
 
 今シーズン、トヨタはドライバーとコ・ドライバーを一新し、2013~2018年と6年連続でドライバーズ・チャンピオンに輝いたフランスのセバスチャン・オジエをエースに迎え、進境著しいイギリス人ドライバー、前年ランキング5位のエルフィン・エバンス、2019年に下位カテゴリーのWRC 2 Proでチャンピオンを獲得したフィンランドのカッレ・ロバンペラの3人で今年を戦う。

 マシンは世界戦略車『ヤリス』をワールドラリーカー規定に基づいて開発。2018年にチームをマニュファクチャラー・タイトルへ、2019年には最多の6勝を挙げたオット・タナクをドライバーズ・チャンピオンへ導いた。今年の仕様は前年の車両をベースに各部を改善し、軽量化とエンジンパフォーマンスのさらなる向上を図ったという。1600cc直列4気筒直噴ターボエンジンから最高出力380馬力以上を発生するモンスターマシンだ。

 トヨタ陣営はオジエ、エバンスがともに区間トップタイムをマークしながらリードを築き、エバンスが首位、4.9秒差でオジエが2位とワン・ツー体制で4日にわたる競技の最終日を迎えたが、6.4秒差につけていたヌービルがSS(スペシャルステージ)13~16を全て制する鬼神の追い上げで逆転し、最終的に12.6秒の差をつけて優勝した。4年連続ランキング2位と初チャンピオン獲得に燃えるヌービルは、この週末行なわれた16SSのうち9SSを制しており、悲願のタイトルに向けて最高のスタートを切った。