4月20日、今年の牡牝クラシック初戦となる皐月賞(GⅠ、中山・芝2000m)で、単勝3番人気のミュージアムマイル(牡3歳/栗東・高柳大輔厩舎)が優勝。単勝オッズ1.5倍の圧倒的1番人気だったクロワデュノール(牡3歳/栗東・斉藤崇史厩舎)は勝ち馬から1馬身半差の2着、4番人気のマスカレードボール(牡3歳/美浦・手塚貴久厩舎)が3着だった。
2000mを駆け抜けた馬たちがゴールを過ぎたあと、中山競馬場はその場に詰め掛けた競馬ファンから溢れ出す、困惑したムードに包まれた。言うまでもないが、その勝利を信じて疑わなかったクロワデュノールが目の前で差し切られた結末による当惑である。
筆者も現場で見る限りは、クロワデュノールが積極的すぎる競馬をしたため、後方で脚をためていたミュージアムマイルの餌食になったのだろうと安易な見方をしていた。
しかしそうした見方は、周回パトロール映像と、レース後に発表された騎手に対する処分を知って見直しを余儀なくされた。騎手への処分は以下の3件である。
①マスカレードボールの横山武史騎手は、1コーナー手前で十分な間隔がないのに先行馬を追い抜こうとしたことについて過怠金50,000円。(被害馬:エリキング、フクノブルーレイク、サトノシャイニング、ヴィンセンシオ)
②ニシノエージェントの津村明秀騎手は、向正面で外側に斜行したことについて過怠金30,000円。(被害馬:ジョバンニ、ミュージアムマイル、サトノシャイニング)
③アロヒアリイの横山和生騎手は、向正面で内側に斜行したことについて過怠金30,000円。(被害馬:ドラゴンブースト、クロワデュノール)
まず①だが、激しいポジション争いの最中に起こったこの事象で、被害馬は4頭に及び、3度4度と馬体をぶつけられる重大な不利を受けたエリキング(牡3歳/栗東・中内田充正厩舎)はこのアクシデントでレースが終わってしまったと言っていいだろう。
そして結果を大きく左右したのは③の件。これはファウストラーゼン(牡3歳/栗東・西村真幸厩舎)が馬群の外をまくって出たことをきっかけとして重層的、連鎖的に引き起こされた事象である。
向正面で最後方から馬群の外を通ってまくりをかけたファウストラーゼンに連れてアロヒアリイも位置を押し上げていったが、ファウストラーゼンがインへ切れ込むのにつられるようにアロヒアリイが内へ斜行。ドラゴンブーストを外から押圧し、その内にいるクロワデュノールに馬体を接触。クロワデュノールは進路の確保が難しい体勢に陥り、鞍上の北村友一騎手はたまらず手綱を引いて位置を下げた。そうしたタイミングで勝負どころの第3コーナーを迎え、馬群の外へと進路を取ったクロワデュノールは再び位置を取り返しに行き、先頭のファウストラーゼンに並びかける勢いで直線へと向いた。
先頭集団がラストスパートに入るなか、クロワデュノールが抜け出して一心にゴールを目指すが、そこへ後方から力強く脚を伸ばしたミュージアムマイルが強襲。ほとんど並ぶ間もなくクロワデュノールを交わすと、1馬身半差を付けて先頭でゴールへ飛び込んだ。
2000mを駆け抜けた馬たちがゴールを過ぎたあと、中山競馬場はその場に詰め掛けた競馬ファンから溢れ出す、困惑したムードに包まれた。言うまでもないが、その勝利を信じて疑わなかったクロワデュノールが目の前で差し切られた結末による当惑である。
筆者も現場で見る限りは、クロワデュノールが積極的すぎる競馬をしたため、後方で脚をためていたミュージアムマイルの餌食になったのだろうと安易な見方をしていた。
しかしそうした見方は、周回パトロール映像と、レース後に発表された騎手に対する処分を知って見直しを余儀なくされた。騎手への処分は以下の3件である。
①マスカレードボールの横山武史騎手は、1コーナー手前で十分な間隔がないのに先行馬を追い抜こうとしたことについて過怠金50,000円。(被害馬:エリキング、フクノブルーレイク、サトノシャイニング、ヴィンセンシオ)
②ニシノエージェントの津村明秀騎手は、向正面で外側に斜行したことについて過怠金30,000円。(被害馬:ジョバンニ、ミュージアムマイル、サトノシャイニング)
③アロヒアリイの横山和生騎手は、向正面で内側に斜行したことについて過怠金30,000円。(被害馬:ドラゴンブースト、クロワデュノール)
まず①だが、激しいポジション争いの最中に起こったこの事象で、被害馬は4頭に及び、3度4度と馬体をぶつけられる重大な不利を受けたエリキング(牡3歳/栗東・中内田充正厩舎)はこのアクシデントでレースが終わってしまったと言っていいだろう。
そして結果を大きく左右したのは③の件。これはファウストラーゼン(牡3歳/栗東・西村真幸厩舎)が馬群の外をまくって出たことをきっかけとして重層的、連鎖的に引き起こされた事象である。
向正面で最後方から馬群の外を通ってまくりをかけたファウストラーゼンに連れてアロヒアリイも位置を押し上げていったが、ファウストラーゼンがインへ切れ込むのにつられるようにアロヒアリイが内へ斜行。ドラゴンブーストを外から押圧し、その内にいるクロワデュノールに馬体を接触。クロワデュノールは進路の確保が難しい体勢に陥り、鞍上の北村友一騎手はたまらず手綱を引いて位置を下げた。そうしたタイミングで勝負どころの第3コーナーを迎え、馬群の外へと進路を取ったクロワデュノールは再び位置を取り返しに行き、先頭のファウストラーゼンに並びかける勢いで直線へと向いた。
先頭集団がラストスパートに入るなか、クロワデュノールが抜け出して一心にゴールを目指すが、そこへ後方から力強く脚を伸ばしたミュージアムマイルが強襲。ほとんど並ぶ間もなくクロワデュノールを交わすと、1馬身半差を付けて先頭でゴールへ飛び込んだ。
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