バレーボール

ベンチに下げられた高橋藍。歴史に残るサントリー大逆転勝利につながった“キーポイント”「冷静に見るいい機会だった」【SVリーグ男子ファイナル】

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2025.05.04

サントリーの高橋。ベンチに下がった場面もあったがチームは白星を挙げ、初代王者に王手をかけた。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 5月3日、バレーボールの「大同生命SVリーグ」男子チャンピオンシップファイナルのGAME1が行なわれ、サントリーサンバーズ大阪がジェイテクトSTINGS愛知に3対2(21-25、21-25、26-24、32-30、26-24)と先勝した。2セット連取されて追い込まれながら執念の全員バレーで大逆転勝利を収め、SVリーグ初代王者に王手をかけた。
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 3時間25分の死闘を制したのはサントリーだった。第3セットから怒とうの3連続で奪い返し決着をつけた。この日、12得点を挙げたエースの高橋藍は、「まずは勝ったことが一番大きい。しっかり次につながるいい試合ができた」と安堵した表情をみせた。

 1、2セット目は愛知のペースだった。特に相手の外国人アタッカーを中心にした攻撃をサントリーは防ぎ切れず、強烈なサーブにも苦しんだ。「もう少し自分たちのバレーを展開できた部分と、何かファイトしきれていない部分があった」と振り返る。高橋自身もサーブレシーブが弾かれたり、攻撃でも打ち崩せず精彩を欠く場面もあった。事実、第3セット中盤にはバックアタックをブロックされ、ビハインドの状況ながらエースはベンチに下げられた。悔しさは当然あったはず。だが意外にも「冷静に見るいい機会になりました」と、その理由を次のように明かす。

「(愛知が)どのようにブロックをついてきてるか、どのような高さであったりだとか。一度外に出てどういう戦いをしていかないといけないか、どういう打ち方をしてスパイクを特定していかないといけないかという部分。サーブで崩されてしまうシチュエーションがすごく多かったので、外から見ることによってしっかりリセットできたというか、冷静に対応策を考えていたので。戻ったタイミングで、しっかりもう一段階ギアを上げられたところは良かったです」
 
 チームがなんとか第3セットをデュースで競り勝つと、再び高橋が戻ってきたのは第4セットの終盤だった。18-22と劣勢の場面でコートに入ると、エースは息を吹き返したかのように得意のバックアタック、レシーブでチームに活力を与え、32-30と接戦を制した。「やっぱり自分自身がチームを引っ張っていかないといけない部分もあるし、決め切らないと他の選手もチームとしてもしんどくなってしまうので。その責任というか役割のところは戻ったタイミングでしっかりと決め切っていく。一回外に出れたからこそ、(気持ちを)一回切り替えて、そのポイントに対する意識の強さは出せたと思います」と話した。
 
 勝負の第5セットでは互いに1点を取り合う痺れる展開のなか、レフトから強打を決めて叫んだ。「自分のプレーを出せたのが大きい。取り切ることに集中した」と胸を張った。

 悲願の日本一まで、あと1勝だ。5日の2戦目(千葉・ららアリーナ東京ベイ)に向けては、「もちろん次で決めることにフォーカスしていきますけど1点ずつしっかり取っていくこと、自分たちのバレーボールをやっていくことが結果につながっていくと思う」と見据える。「1セット目から自分たちの勢いを出していきたい。そこが次の試合で重要になってくると思うので。今日みたいな3セット目、4セット目のプレーが出せれば、しっかりと結果につながっていくと思うので、それを信じて第2戦を戦っていきたい」と誓う。

 苦しみながらもフルセットの末に掴み取った白星。この1勝は大きい。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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