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ラグビー

「プライドを持て!」埼玉WKに屈強な信念の男が復帰 3季ぶり日本一へ、ディラン・ライリーが見据える最終局面「チーム全員で同じ『画』が見られるように」

向風見也

2025.05.07

怪我から復帰したライリー。16節・BR東京戦からスタメンに名を連ねている。写真提供:JRLO

怪我から復帰したライリー。16節・BR東京戦からスタメンに名を連ねている。写真提供:JRLO

 クールに映るディラン・ライリーが、思いの強さをにじませたような。現地時間で昨年11月24日のことだった。

 左胸に桃色の花びらの文様をあしらったラグビー日本代表の一員として、ロンドン郊外はトゥイッケナムのアリアンツ・スタジアムにいた。

 敵地イングランド代表の力強さに圧倒され、次々とトライを許した。

 最後は14―59で敗れるのだが、その途中、円陣を組んで声を大にしたのがライリーだった。
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「プライドを持て! 桜のエンブレムをつけているんだ!」

 若手が多かったこの日の隊列へ、当時27歳のワールドカップ経験者が奮起を促したのだ。

 ちょうどその場で聞いていたメンバーのひとり、竹内柊平は感嘆した。
 
「ありがたいですよね。でも、彼にそんなことを言わせたのは申し訳なかった。ライリーにそう思わせないようパフォーマンスを見直し、今後それを示せたら」

 当の本人が述懐したのは、年が明けてからだ。

「ラグビーやっている最中にはアドレナリン、感情というものが溢れ出てくることがあります」とし、掘り下げる。

「あの場面では、チームがステップアップしなければいけなかった。全員、ベストを尽くしてくれてはいたのです。ただ、ひとたび『穴(逆境など)』に陥ると戻るのが難しい。そんななかどうしたら試合に立ち戻れるか、またモチベーションを上げられるかを考えての発言でした」

 強豪国相手に苦戦したツアーの終了後は、その年発足のエディー・ジョーンズヘッドコーチ体制に関するアンケートへ応じた。日本ラグビーフットボール協会の求めによるものだ。

「スタッフのために書いたものなので、(詳細は)コメントできません」とし、建設的に述べた。

「信じ合うこと、正直になることは大事。選手にフィードバックを求められたことは凄くいいことだと感じます」

 2021年に代表デビューを果たし、23年にはフランスでワールドカップに初出場。最近はやや若返ったナショナルチームにあって、キャリア組としての自覚が芽生えている。

「リーダーシップの役割にせよ、それ以外にせよ、チームがよくなるよう助けになることをしていきたいです。いつも強い相手と戦うことはチャレンジングだと感じます。ただ、大切なことは、そういう(厳しい)試合のなかでいかに自信を取り戻すかです。調子のいい時に何ができるかは、すでに証明しています(昨夏のパシフィック・ネーションズカップでは準優勝)。ネガティブなことに囚われず、『できる』ということに焦点を当てていきたいです」
 
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