陸上

「眠れる森の美女」ウクライナの妖精が4年ぶりの国立で貫録V。寂しかった“日本の思い出”を上書き「東京五輪では…」【陸上セイコーGGP】

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2025.05.20

4年ぶりに来日したウクライナのマフチフ。圧巻の跳躍で優勝した。写真:梅月智史(THE DIGEST写真部)

 5月18日、東京・国立競技場で陸上のセイコーゴールデングランプリ(GGP)が行なわれた。女子走り高跳びはパリ五輪金メダリストのヤロスラワ・マフチフ(ウクライナ)が優勝を飾った。
【画像】パリ五輪で「眠れる森の美女」と話題を呼んだ実際のシーン

 世界記録保持者が貫録の跳躍をみせつけた。他の選手が1メートル88まで終えたなか、五輪女王は1メートル91から挑戦。これを難なく決めると、国立は大きな拍手が上がった。

 マフチフはさらに1メートル96も一発成功。余裕すら感じる跳躍に観衆の視線は釘付けになった。

 自身が保持する2メートル10の世界記録更新が期待されたが、このあと2メートル00を失敗したマフチフはパスして競技を終了。わずか3回の試技で、あっさり頂点に立った。

 2021年の東京五輪以来の来日だったマフチフ。会場の雰囲気は「すごく良くて、いい気分だったわ」と笑顔を見せた。銅メダルを獲得した4年前と同じ舞台だったが、当時はコロナ禍での無観客開催。やはり心寂しかったという。

 世界女王は日本の印象について「とてもクールね。東京五輪では誰もいないスタジアムの思い出しかなかったから」と笑い飛ばしながら、「今は満員のスタジアムでプレーできるし、国立競技場で素敵な思い出もできた。結果は残念だったけど、この大会には満足しているわ。街はクールだし、みんな親切だわ」と満足気だった。

 2メートルで棄権した理由を訊くと、「身体のコンディションが準備できていなかった。高く跳ぶために必要なスピードで走れなかったし、跳べる気がしなかったの」と明かした。ケガではないことを強調しつつ、次戦のダイヤモンドリーグ・ストックホルム大会(6月15日)では「しっかり跳びたい」と前を向いた。
 
 23年のオレゴン大会で悲願の金メダルを獲得したマフチフは4か月後、連覇のため再び東京に戻ってくる。「ここに戻って来て観客の皆さんと一緒に戦えることを嬉しく思ってるわ。今はヨーロッパに戻って、世界陸上東京に向けて準備を続けるわ」と、さらなる進化を誓った。

 昨年のパリ五輪では競技中に寝袋で休む姿がディズニー映画の「眠れる森の美女」と話題になった。取材対応のミックスゾーンでも笑顔を絶やさず、真摯に答えたウクライナの妖精は微笑みながら、「TOKYOをすごく楽しみにしてるわ。私は競争するのが好きだから」と力強く意気込み、手を振りながら会場を後にした。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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