かつての同僚と友好を交わす素敵なシーンだった。

　７月13日、バレーボールのネーションズリーグは予選ラウンド千葉大会の最終戦が行なわれ、世界ランク３位の日本は同２位のブラジルに０-３（17-25、18-25、20-25）のストレートで敗れた。試合直後にはセッターの関菜々巳とブラジル主将の間で心温まるスポーツマンシップが交わされた。

【画像】予選ラウンド９勝３敗３位で決勝ラウンドへ！｜VNL千葉大会 日本女子０－３ブラジル女子

　今大会初めて１セットも奪えず完敗した日本。強敵からの白星は奪えなかったが、試合後にノーサイド溢れる美しいシーンがあった。日本の関とブラジルの絶対的エースの“ガビ”ことガブリエラ・ギマラエスが健闘を称えるように抱擁を交わした。

　パリ五輪後、関は24-25シーズンにイタリア・セリエAの強豪イモコ・コネリアーノでプレー（現在はUYBAブスト・アルシーツィオ）。ガビはチームのエースとして活躍し、両選手はチームメイトとしてシーズンを戦い抜き、リーグ戦をはじめ世界クラブ選手権やコッパ・イタリア、欧州チャンピオンズリーグなどタイトルを総なめにした。
  　２人は久々の再会を喜ぶと、ガビは優しい視線で関の左肩に手をかけて少し言葉を交わす。試合に敗れ、肩を落とす関をガビは優しく包み込むようにハグした。笑顔を浮かべた両選手は大会オフィシャルカメラに視線を向け、顔を寄せ合い記念撮影に収まった。

　取材ゾーンに現れた関にガビと交わした言葉について訊くと、「ファイナルラウンドでまた会おうね」との言葉を交わしたという。関は「やっぱりガビがいると、チーム全体が落ち着く。そういうところは、本当にすごい選手」と脱帽。強烈なスパイクを武器に11得点を挙げ、チームを勝利に導いたエースの力強さを称えた。

　ガビは大会前の８日、日本戦について「彼女たちのホームでの試合は常に難しいゲームになる。ベストを尽くしたい」と話し、闘志を燃やしていた。主将の言葉に引っ張られ、ブラジルは千葉大会を４戦４勝。予選ラウンドを11勝１敗の２位とし、ポーランドで開催される決勝ラウンド進出を果たした。

　ブラジルの絶対的エースは試合後、強雨が降るなか会場外でずっと待っていた大勢の日本人ファンにサイン。記念撮影にも応じ、声援には最後まで手を振り異国で充実した時間を過ごした。

取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）

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