2025年のF１はシーズンの半分（12戦）を終えたが、レッドブルはここまでコンストラクターズ・チャンピオンシップでは首位マクラーレンに288点という大差をつけられての４位に沈み、ドライバー・チャンピオンシップでも４度の世界王者マックス・フェルスタッペンが３位、角田裕毅は17位と、非常に苦戦している。

　英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は「レッドブルにとって今季は、（タイトル争いに参戦する前の）2020年以来最悪のシーズンとなっている。確かに今季はポールポジション４回、数回の勝利（２勝）もあったが、それらは全てフェルスタッペンによるもので、ほとんど『奇跡的』に生まれたものである」と、厳しくこのオーストリア籍チームを総括する。
　同メディアは、独自の指標によってマシンからどれだけのパフォーマンスを引き出せているかをチーム、ドライバーごとに数値化し、そのランキングを発表。ここでレッドブルはマクラーレンに次いで２位につけたものの、チャンピオンシップの順位との乖離は、「このチームが『ワンマンチーム（１台だけが戦えているチーム）』であることの証」として、「フェルスタッペンが１台しかドライブできない以上、彼ひとりに全てを頼っていては、チームタイトルは獲れない」と厳しく指摘した。

「現在、クリスチャン・ホーナーがチーム代表から退いたことで、レッドブルは立て直しの時を迎えている。何が上手くいっていないのか、チーム全体で現実を直視する必要がある。
　レッドブルにとって最も重要な改善点は、『より扱いやすい車を作ること』である。それが実現すれば、再び『２台体制』のチームとなる可能性があり、フェルスタッペン自身のパフォーマンスもさらに安定し、速くなるかもしれない」

　同メディアは、フェルスタッペンの並外れた才能が、今回の問題においてはマイナスに作用しているとの見解を示し、「彼の『良い走り』は、むしろ『RB21』の問題を隠してしまい、状況を悪化させているのかもしれない。これが、テクニカルディレクターのピエール・ワシェに『あと少し微調整すれば、この車でも安定した成功が得られる』と信じさせてしまっている可能性もある」と綴っている。


　またセカンドドライバーについても、「もう１台を担当したリアム・ローソンと角田は、間違いなく有能なドライバーだが、フェルスタッペンのような偉大なドライバーの隣で、トップチームのプレッシャーを受けながら戦うというのは、単に有能であるだけでは務まらない。結果は、そのことを如実に物語っている。車に難があるとはいえ、２人の走りは到底十分とは言えず、今もそれは変わらない」と、やはり評価は厳しい。

　レッドブルの車が、もはやフェルスタッペン以外には上手く扱えず、今ではそのフェルスタッペンですら手を焼く状況となっていることは、多くのメディアによって指摘されている。このオランダ人ドライバーの才能をフルに活かすための方向性が、現状を生み出してしまったというのが大方の見方だ。