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新型コロナウイルスによる経済的損失にスポーツ界は耐えられるのか?今後の見通しは?

石田英恒

2020.03.12

 一方で、無観客試合とならずに観客を入れる形で、延期のみで開幕にたどり着けた場合も、スケジュール問題を避けては通れない。もともと今年はオリンピックがあり、プロ野球、Jリーグはオリンピック期間中に開催しないことになっていた。夏の高校野球もオリンピックと日程をずらし、オリンピック後に開催することになっていたので余計にスケジュールは厳しい。

 プロ野球、Jリーグはそれぞれ4月中の開幕・再開を目指す。ただ、4月に開幕・再開できたとしても、これから厳しいスケジュールでの運営が迫られる。Jリーグでは水曜日の試合開催が増え、プロ野球も週7試合するケースが出てくるかもしれない。また、オリンピック期間中に試合を行なう選択肢も出てくるだろう。延期した試合を全て消化する場合は、11月、12月のシーズンオフにまで試合がずれ込んでしまう可能性すらある。

 そうなれば、選手の疲労度が増し、試合でのパフォーマンス低下、コンディション調整が翌年度にまで影響を及ぼす問題も起きてくるだろう。プロ野球は、3月12日に最終協議が行なわれるが、クライマックスシリーズ中止についても最終調整に入っているようだ。
 
 今後の見通しとして気になるのが、夏の時期の運営だ。ブラジルやオーストラリアなど、今は夏の時期にあたる南半球の国々でも感染者が出ている。政府の専門家会議でも、その点が考慮されたのか、気候が暖かくなっても必ずしもウイルスが下火になるとは限らないとしている。

 今のところ、なんとかウイルス流行が下火になり、4月には通常開催できるようになることを祈るしかない。もし長引けば、無観客試合はもちろん、試合を中止しなければならなくなる場合も出てくる。チームや競技団体のチケット収入はなくなり、経済的損失は計り知れなくなってしまう。

 新型コロナウイルスの流行は、日本のスポーツ界にとってかつてない危機になっているのだ。

 ひとつだけ良いニュースがある。3月10日に中国の習近平国家主席が武漢市入りしたことだ。今回の新型肺炎が震源地の中国においてピークを過ぎ、これから下火になっていくサインではないかとの見方が出ている。そうであれば、日本のスポーツ界にとっても朗報なのだが……。

取材・文●石田英恒
 

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