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ゴルフ

記録ずくめの2連勝を飾った恐るべき19歳。笹生優花が“分水嶺の12番“で見せた世界で戦う武器

山西英希

2020.08.30

 一方の小祝はサンドウェッジでのピッチエンドランを選択したが、ボールが落ちた後、思うように転がらず、寄せ切れなかった。パーパットは沈めたものの、チップインバーディを奪った笹生に勢いがついたのは明らかだった。

「普段はあまり転がしませんが、今週は使うかもしれないと思い、練習しておいてよかったです。でも、ホントは思ったよりも強かったんですけどね」と笑う笹生。まさかのラッキーパンチではあったが、最終日の朝も48度のウェッジを使って転がしの練習をしていたと言う。転ばぬ先の杖ではないが、日本で戦う女子の場合、笹生に限らずランニングアプローチを武器とする選手は少ない。しかし、先に行われた全英女子オープンのように、世界で戦うには必須アイテムでもあるだけに、いい判断だったと言えるだろう。
 
 結局、5バーディ、2ボギー、1ダブルボギーの71でまとめた笹生は、小祝に2打差をつけてホールアウト。最終18番で1メートルのウイニングパットを沈めると、ようやく笑顔を見せた。“女ウッズ”の異名を持つ笹生だが、国内ツアーにデビューしての3戦2勝は本家を上回る。もちろん、男子と女子の違いやツアー自体のレベルの差はあるが、ウッズがプロに転向したのは20歳のときで、初優勝を飾ったのはデビュー5試合目だった。今後の活躍次第ではあるが、海外メジャーでどれだけ成績を残せるのか期待は高まる。

「子どもの頃に描いた世界一への夢は持ち続けています。なれるかどうかは分かりませんが、なれるように頑張りたいですね」と力強く語った笹生。その夢へ向かって歩き始めたことは間違いない。

取材・文●山西英希
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