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ゴルフ

渋野日向子が海外ツアー6試合から得たモノとは?“自信喪失と回復”を繰り返した2か月間を振り返る

山西英希

2020.10.15

 一週間のオフを挟み、東海岸へと移動した渋野。オフの間は好きな距離だという80~100ヤードを徹底して練習する一方で、ダウンスイングの際に懐をつくることを意識したという。また、オーバースイング気味だったスイングを修正するために、トップの位置をコンパクトにしたり、大きめのクラブで抑え気味に打つショットを練習。さらに、パッティングもクロスハンドグリップから順手に戻した。

 そんな状況で迎えた『ショップライトLPGAクラシック』。初日の前半になんと5アンダーの「29」をマークする。それ以降はポアナ芝に悩まされ、思うようにスコアを伸ばせず、通算6アンダーの27位タイに終わったが、上位を伺うチャンスはあると思わせた。

 そして今回の遠征で最終戦となる『KPMG全米女子プロ』を迎えた。初日はフェアウェイを一度しか外さず、グリーンも15回とらえ、イーブンパーの好スタートを切る。しかし、ショットの調子がよかったのはこの日だけで、徐々にスコアを落とし、最終的には通算11オーバーの58位タイに終わった。試合後には、「足りないものが多すぎます。メジャーチャンピオンと名乗るは恥ずかしいと思いました」と自虐的に語っていた。
 
 自信喪失と自信回復を繰り返した2か月間だったが、最終的には自信を取り戻せないほどのレベルの高さを味わうことになった。しかし、渋野のコメントで気になったことが1つある。「ここにくるまでは飛距離が必要だとすごい思っていたけど、飛距離の問題じゃないなというか、飛距離以外のことで何打も縮められるとすごい実感しました」というひと言だ。

 男子も含めて日本から米ツアーに参戦すると、まず他の選手の圧倒的な飛距離に驚かされる。無名選手でさえ当たり前のように自分をオーバードライブすることで、飛ばさなければと思うのだ。その結果、スイングを崩して低迷するというパターンを何度も見てきた。

 しかし、米ツアーやメジャーで優勝争いを繰り広げるには、飛距離よりも小技が大切になる。過去、日本人で優勝してきた選手は皆ショートゲームが上手かった。最近の男子はパワーゲームになっているが、女子はまだそこまでではない。飛距離アップに費やす時間があるなら、アイアンショットやショートゲームを磨いたほうがいい。そのことを理解できたことが、最大の収穫ではないだろうか。

文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。
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