「ダスマリナスはサウスポーのカウンターパンチャーで、悪い選手ではない。ただ、井上相手に何かができるとは思わない。レベルが違うよ」

　フィリピンボクシング界のある事情通は、匿名を条件にそんな正直なコメントを残してくれた。井上は格下相手でも油断する選手ではなく、実際に中盤までに豪快KOで決着がつく可能性が高いのではないか。現状ではアメリカ開催の可能性の方が高いようだが、2019年のノニト・ドネア（フィリピン）戦のようなハイレベルな戦いを期待する日米のファンは少々がっかりする内容、結果になってしまうかもしれない。
  　それでも、バンタム級での４団体統一を目指すならダスマリナスはいずれ戦わなければいけない相手ではある。「統一路線よりも即座にビッグファイトを」という一部のファンの心情も理解できるものの、渡航制限、ゲート収入減などを考えれば、当面はそれに向けた現実的なオプションがあるわけではない。だとすれば、今のうちに厄介なIBF指名戦を終わらせ、今後に向けて自由になっておくのも悪くはないのだろう。

文●杉浦大介

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