専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
ラグビー

フーパー、バレットらの鮮烈デビューに沸いたTL開幕戦。大物バトルが連発する今季の見どころをチェック

向風見也

2021.02.22

 ラン、パス、キック、スクラムという有形の動きに加え、無形の動きも注視されたい。上質な戦士ほど、球を持たぬ際も輝くからだ。

「笑わない男」として一時テレビスターと化した稲垣啓太は、その無形の力で成り上がった1人だ。

 2月20日の秩父宮ではリコーとの初戦で左プロップを担い、鋭いパスと突進、何より防御時の献身で55―14での快勝を支えた。

 7点差を追う前半5分頃。自陣22メートル線上の防御網で上下動を繰り返しながら、ランナーを仕留めるやそのまま押し返し、起立し、次の、次の局面でも走者の正面からロータックルを打ち込む。以後も危険地帯を素早く埋め、やがて向こうがミスを犯した。

 攻撃中の無形の力は、神戸製鋼のベン・スミスの真骨頂だ。

 2020年に6戦全敗のNECと47―38と打ち合った優勝候補にあって、長らくニュージーランド代表の常連だった新加入選手はウイングとして気を利かせた。
 
 後半10分頃、自陣10メートル線付近右中間でキックを捕球。左側へ歩を進め、視線の先にいたニュージーランド代表時代の盟友、ロックのブロディ・レタリックへパスを放つ。

 刹那、204センチのレタリックへ、NECのフランカーで178センチの亀井亮依共同主将が刺さる。ただレタリックのほぼ真後ろには、パスを放ったばかりのスミスがすでに回り込んでいた。

 レタリックから再びボールを受け取るや前進。やがて周囲は自前の攻撃陣形をこしらえ、お家芸たる連携技で一気に陣地を奪った。攻守逆転のピンチを未然に防ぎ、得点のチャンスを生んだのだ。

 ジェイミー・ジョセフ現日本代表ヘッドコーチは、選手に「一貫性」を求める。本稿で挙がった有形、無形のパフォーマンスで際立つ国際的戦士もまた、総じて試合ごと、時間帯ごとの出来、不出来の波が穏やかだ。5月の閉幕まで、高い顧客満足度を保つだろう。

取材・文●向風見也

【トップリーグ PHOTO】英雄バレットが鮮烈デビュー!トライも決めサントリーを大勝に導く

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号