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ラグビー

大西将太郎がスコットランド戦を斬る!「チームでつないだ稲垣啓太のトライは成長の証。日本を背負う責任感が彼らを突き動かした」

大西将太郎

2019.10.14

稲垣のトライにつなげた連続プレーは、日本の真骨頂だった。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

稲垣のトライにつなげた連続プレーは、日本の真骨頂だった。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

 また、今回のスコットランド戦は、いろいろな方のご尽力があったから開催できた試合です。これも忘れてはいけません。リーチ・マイケルが「台風で被害にあった方がいるにも関わらず」と言っていたように、日本の選手たちはいろんな人たちの想いを背負って戦っていました。ニュージーランドやイタリア、イングランド、フランス、カナダ、ウルグアイといった、試合ができなかった国の悔しさも彼らには痛いほど分かったでしょう。

 台風の影響で選手たちにも少なからず動揺はあったと思いますが、今の日本代表には、目の前の試合に集中できる強さがありました。そして結果を出して、被害に遭われた方たちに勇気を与えられたのではないかと思います。

 準々決勝の相手は南アフリカです。ここからは1点差でも勝てばいいノックアウトステージに入ります。戦い方は変わってくると思いますが、今の日本代表なら、どんな相手でも十分に戦えるでしょう。
 
 南アフリカの穴を見つけて、日本らしい攻撃を見せてほしいですね。正直、南アフリカには穴がありません。それでも分析してこじ開けていくのが今の日本代表だと思うし、その戦いぶりを楽しみにしています。世界一だと思われる南アフリカのディフェンスを、いかにして破るのか。注目したいですね。

 前回のW杯では日本が南アフリカを下し、“ブライトンの奇跡”と言われましたが、今回はプール戦を勝ち上がってきた国同士による同等の戦いです。むしろ、1位通過は日本ですからね。恐れることは何もありません。

 ここから先は、一つひとつが歴史を変えていく戦いになります。ベスト8以上のチームは厳しいプール戦を勝ち抜いていますから、どこが優勝しても不思議ではありません。まさに何が起こるか分からない戦いが続くので、日本代表には今まで通りに自分たちの力を100%出してほしいと、心から思います。

●大西将太郎 PROFILE●
1978年11月18日生まれ。大阪府東大阪市出身。現役時代はCTBとSOをこなせる万能型のバックスで、キックの名手としても知られた。布施ラグビースクール、啓光学園高、同志社大を経て、卒業後はワールドに入社。その後、06年からヤマハ発動機、09年から近鉄、13年から豊田自動織機でプレーし、ジャパンラグビートップリーグ(リーグ戦)では通算143試合に出場。07-08年シーズンには「ベスト15」、「得点王」、「ベストキッカー賞」の三冠に輝いた。日本代表には同志社大4年時(00年)に初選出され、通算33キャップ・71得点。07年ワールドカップ・フランス大会のカナダ戦では、終了直前に同点コンバージョンを決めて引き分け(12-12)に持ち込み、日本代表のワールドカップ連敗記録を13で止める立役者となった。 16年の現役引退後は、同志社大や立命館大でバックスコーチを務める。現在は解説者として、また19年ラグビーワールドカップの認知活動および、ラグビーの普及活動のため、全国を飛び回る日々だ。
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