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【スプリングステークス】ヴィクティファルスが重賞初制覇した“二つの勝因”。タフな馬場状態で明暗を分けたのは

三好達彦

2021.03.22

 もう一つは、前段で述べた”コース取り”の巧みさである。

 14番という外枠から出たヴィクティファルスは前に馬を置きながら馬群の外めで折り合いをつけて進み、3コーナーから進出を開始。4コーナーでは大外を回って、直線ではあまり馬場が傷んでいない内ラチから数頭分を避けて追い込んだのだ。そして、これが最後の伸びにつながった。ここ一番で思い切ったプレーを見せる池添謙一騎手のストロングポイントが見事に発揮された巧騎乗だった。

 デビュー2戦目にして重賞で2着に入り、タフな馬場状態で行なわれた3戦目で重賞勝ちというのは、かなりのポテンシャルを秘めた馬でなければできないこと。ヴィクティファルスは共同通信杯で、クラシック候補としてトップクラスとの評価を受けるエフフォーリア(牡3歳/美浦・鹿戸雄一厩舎)に付けられた2馬身半の差を、皐月賞ではどこまで詰められるのか。とても楽しみな存在となった。

 2着に入ったアサマノイタズラのしぶとい走りには驚かされたが、手綱をとった嶋田純次騎手が「先生(手塚調教師)からは『強気に乗って』と言われたのですが、結果的にもう少し(追い出しを)待っていてもよかったかもしれません」と、陣営がかなりの自信を持って臨んだレースだったことが分かる。
 
 しかし敗れはしたものの、最後まで見せたしぶとさは評価されるべきものであるのは確か。穴馬的な存在として、クラシック戦線でも気になる一頭に浮上した。

 3着となったボーデンの走りを健闘と見るか、期待外れと見るかは微妙なところ。直線半ばではいったんは先頭をうかがう場面を作りながら、最後には脚が上がってしまったわけだが、馬場状態が悪い内めを通ったことを考えれば健闘といえるだろう。

 一方、前の2頭とは2馬身ほどの差を付けられたところに物足りなさを感じるもの確かだ。ただ、これがデビュー3戦目というキャリアの浅さを考えれば、ここで見限るのは早計だと筆者は考えている。

 また、2番人気に推されたランドオブリバティは、折り合いの難しさを感じさせる走りとなり、直線で伸びを欠いて7着に終わった。これでクラシック戦線では大きく後退したと言わざるを得ない。

 プレビューで”特注”として取り上げたロードトゥフェイム(牡3歳/美浦・尾形和幸厩舎)は見せ場なく8着に敗退。前走の若竹賞(1勝クラス、中山・芝1800m)を不良馬場で圧勝していたことからの”推し”だったが、舞台がGⅡともなると、馬場状態への対応能力の差だけでは通用しなかったと解するべきか。不明を恥じるばかりである。

文●三好達彦

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