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ゴルフ

“あまりにも高い壁”を打ち破った松山英樹と、その前に屈した名ゴルファーたちの「違い」はどこにあるのか

山西英希

2021.05.08

 30歳でPGAツアーに本格参戦し、ツアー3勝を挙げた丸山がよく語っていたのが、「もっと若い時に参戦しておくべきだった」という言葉だった。それだけ国内ツアーとは環境がかけ離れており、慣れるまでに苦労したからだ。

 その点、松山がPGAツアーに本格参戦したのは22歳になった年からと圧倒的に若い。しかも、マスターズに初挑戦したのは19歳でローアマにも輝いている。このときは怖いもの知らず的な部分が功を奏したが、翌年のマスターズでは最終日に「80」を叩いてローアマを獲得できなかった。ある意味、このときに悔しさやメジャーの怖さを知ったことの方が、その後の松山にとって大きな財産になったように思う。

 どちらにしろ、早い時期でのPGAツアー挑戦は大正解だった。昨年までにツアー5勝を挙げていたが、そのうち2勝はメジャーに匹敵するWGC(世界ゴルフ選手権)の大会だし、プレーオフの最終戦である『ツアー選手権』にも7年連続で出場している。

 メジャーに勝つだけの実力は誰しもが認めるところまで成長していた。
 
 もちろん、環境だけが松山のゴルフを成長させたわけではない。並大抵の努力がなければ、それだけの結果を残すことはできない。

 ただ、世界のトップが常に近くにいることのメリットは間違いなく大きい。彼らがどのような練習をしているのか間近に見ることできるし、自分に何が足りないのかも理解できる。松山が技術だけでなく、筋力トレーニングに一層励んだのも、パワーゴルフを目の当たりにしたからだろう。

 おそらく、才能や体格に恵まれた選手が厳しい環境に身を置き、その実力をさらに開花させなければ、今後も日本人が海外メジャーを制することはできない。それを今回の松山が身を持って証明したのではないか。

文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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