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マラソン・駅伝

9年ぶりに「全日本大学駅伝」出場を決めた中央大の勝因とは?伝統「C」マークの反撃がついに開始!

永野祐吏(THE DIGEST編集部)

2021.07.17

選手を指導する藤原監督(右)。今季は全日本大学駅伝で8位以内、箱根駅伝で5位以内を目指す。写真:徳原隆元

選手を指導する藤原監督(右)。今季は全日本大学駅伝で8位以内、箱根駅伝で5位以内を目指す。写真:徳原隆元

 中央大は、今年1月の箱根駅伝で往路19位、復路3位、総合12位と凸凹な内容で苦戦を強いられた。藤原監督は「駅伝経験が圧倒的に足りなかった」と受け止め、“経験値”を上げるため全日本大学駅伝の出場を確実に決めようと「全てをかけて戦おうと流れをつくった」のだという。

 例年、上半期は5月に関東インカレ、6月に全日本大学駅伝地区選考会と2つの大会に主力選手が出場する。しかし両大会に全力を注ぐのが厳しいと判断した藤原監督は、大きく舵を切った。

「関東インカレは中距離種目でしっかり得点を取り(入賞させ)、長距離種目は育成の場にした。そしてインカレに出ないメンバーは、全日本に向け集中させた」

 この大胆な采配が功を奏した。「若手選手を大舞台で場慣れさせたことで、自信をもって起用できた」と関東インカレで経験を積ませた2年の園木大斗や1年の阿部陽樹らを選考会に送り込めたのだ。そして選手たちが監督の起用に応え「想定通りの走り」をしたことが、本戦出場を決めたキーポイントとなった。
 
 さらに中央大には忘れてはいけないエースの吉居大和がいる。この2年生は五輪選考会を兼ねる日本選手権を優先したため、予選会の出場を回避している。それでも監督は、エースが日常からチームに与えてきた影響に、「超一級の選手が入ることで、これだけの化学変化が起こるんだな」と目を丸くする。

 昨春入学した吉居は、入部早々から存在感を示した。藤原監督は「1年生に負けたくないという思いで上級生らに火がついた。“吉居効果”がチームにとって大きかった」と振り返る。この効果でチーム全体のレベルが上がり、「ポイント練習で、こぼれる選手が本当に少なくなってきた。選手らの走力がこちらの求めるレベルに近づいてる」と手ごたえを掴んだという。

 そんな頼もしいエースを中心に今季は、全日本大学駅伝で8位以内、箱根駅伝で5位以内を目指す。「伝統が素晴らしいが故にいろんなプレッシャーがある。その伝統に押しつぶされないような新しいチームをつくっていきたい」と力を込めた。

 伝統「C」マークの復活劇は、今始まったばかりだ。

取材・文●山本祐吏(THE DIGEST編集部)

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