最後はステージ上にいた千種と選手たちが涙を浮かべながら抱き合った。苦しい期間を経て、団結を深めたマーベラス。その“エース”は、バックステージで自身の心境を吐露。スターダムの『5 STAR GP 2021』参戦による離脱について「しんどかったですね」としながら、「しんどいけど自分はこうやって、しんどい中で自分のプロレスをして、プロレスに救われたので、逆にプロレスがなかったらもっとしんどかったと思う。もうここで切り替えないと。自分が先陣を切って導いていく。私がいるから大丈夫です！」と力強く語った。

　だが、そんなエースの想いに社長は理解を示す。千種は、「長い女子プロレス界で（離脱劇は）よくあること」と語ったうえで、こう続けた。

「ウチの団体がなかっただけ。GAEA JAPANのときの方がキツかった。その時は老舗団体もあったし、ウチも手薄でむしろ打つ手が全くない。それに比べればチャンスはある。彩羽がリーダーだけどメチャクチャ学んでいると思う。トップになるということを身をもって学んでいると思うのでいい選手になります」
  「1試合でもやるよ！」と語った千種からは、このピンチを絶対にチャンスに変えてやるという燃えるものを感じた。「長与千種」というレスラーは、いつも悔しさをバネにして駆け上がり続けて来ただけに、彩羽にもそんな“千種魂”をしっかりと受け継ぎ、マーベラスを大きな団体にしてもらいたいとこだ。それが叶えば、彩羽匠というレスラーも師匠のようにスター選手になっていくに違いない

　別れ際に「大丈夫！ 大丈夫だから！」と笑みを浮かべた長与千種から悲壮感は全くなかった。9.27新木場、10.1＆27後楽園ホールでもマーベラスは、今までと変わらず120%のレベルが高いプロレスを見せていく。

◆マーベラス◆
『新木場大会』
2021年9月10日
東京・新木場1stRING
無観客配信マッチ
▼マーベラスAll in Only as for one game One game unlimited at 6人タッグマッチ（時間無制限1本勝負）
彩羽匠＆○門倉凛＆井坂レオ（26分29秒　逆エビ固め）渡辺智子＆桃野美桜＆宝山愛●

取材・文●どら増田