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モータースポーツ

“再生”に向けての角田裕毅の取り組みに専門メディアが注目!「最初の優先事項はクリアしつつある」

THE DIGEST編集部

2021.09.21

 このアプローチの変更により、「車についてより学ぶことができるようになりました」と効果を強調する角田に対し、同メディアは好調なチームメイト、ピエール・ガスリーとのタイム差を指摘。ドライの状態では、フランス人ドライバーよりも平均で「0.627%」遅くなるということで、これは1ラップ90秒の場合は0.6秒の遅れを意味するという。そして、ここまでの角田にはペースが不足しており、また車と格闘している際には経験不足が顕著に表われ、「車の限界を見つけられず、怖れを抱いている」と綴っている。

 さらに、これを改善するために何をするべきかを以前の角田は理解していなかったと同メディアは指摘。しかし、チーフ・レースエンジニアのジョナサン・エッドルスが用意した方法に従った結果、ザントフォールトではフリー走行時にはガスリーと0.6秒差あったのが、予選では0.2秒まで縮めることに成功。効果はあったものの、モンツァでは再び差が開いたことで、さらなる努力が必要とした。

 エッドルスはトスト代表同様、現在のF1が初心者にとってはとりわけ厳しいものであり、ここまでの角田の失敗には全て情状酌量の余地があると強調し、また角田がチームのファクトリーがあるファエンツァに居を移したことで、「ドライビングだけでなく、データを駆使する方法など、下部カテゴリーでは得られなかったものを会得できる。彼にとっては、これまでと全く異なるプロセスだ」と語っている。

 現在の角田は、前述の本人の告白通り、「一貫したラップとセッション」のためにいわゆる「スーパーラップ」を捨てている状態だが、同メディアはそのおかげで今の彼に最も必要な「クラッシュをなくすこと」が実現できており、今後もチームの用意したプロセスを消化することで、早めにプレッシャーを取り除けると予想する。
 
「波の上に乗る人間は、スピードが上がることを歓迎するものだが、水面で立ち泳ぎをしている人間は、スピードが上がればより疲れ果てて意気消沈することになる」と表現する同メディアは、最初の優先事項をクリアしつつある角田には、その過程で失ったパフォーマンスを次の段階で取り戻すというタスクに取り組まなければならないとした。

 角田がF1に本当の意味で慣れ、誰もが納得するパフォーマンスや結果を安定して出せるようになるまでには、まだ多くの時間が必要ということだが、そのためのアプローチは、チームの協力によって確実に進められているということであり、我々は気長に見守る必要がありそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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