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アカイイトはなぜ勝てたのか?大波乱のエリザベス女王杯で上位人気馬が敗れた理由

三好達彦

2021.11.17

“こじつけ”っぽくなるが、そうした父の血の底力や成長力を活かしたのが、今回のアカイイトの激走だと言えるのではないか。

 デビューは2019年の9月。2戦目の未勝利戦を勝ち上がったものの、その後は好走しながらも勝ち切れないレースが続き、2勝目を挙げたのは昨年8月の札幌でのこと。秋華賞(GⅠ)の出走権をかけて臨んだローズステークス(GⅡ)で7着に敗れて、3歳時は2勝クラスで終えることになる。

 4歳となり、1月に2勝目、6月に3勝目を挙げてようやくオープン入り。夏の休養を挟んで府中牝馬ステークス(GⅡ)は勝ち馬から0秒5差の7着に敗れたが、その“ひと叩き”を経て急激に調子を上げ、重賞初制覇をGⅠの舞台で成し遂げたのが今回のエリザベス女王杯。ここまで実に19もの実戦を経験したタフさには驚かざるを得ない(ちなみに今回の出走馬における最少キャリアはアカイトリノムスメの7戦)。

 ようやく奥手の血を開花させたアカイイトの最大の武器は、レース後に幸英明騎手が「最後は必ず伸びてくる」と評した末脚の確かさ。ここまでの19戦中13戦で上がり3ハロンで最速の末脚を使っており、今回のエリザベス女王杯でも35秒7と最速の時計を叩き出している。その末脚を信じて早めに”まくって”出た幸騎手のアグレッシブな騎乗が見事にハマった形だ。

 今後も中距離路線を軸に進路を取るだろうが、牡馬との対戦も増えてくるはず。真価が問われる来春を楽しみに待ちたい。
 
 さて、一方で人気を背負いながら期待を裏切った上位人気馬は、不運にも本レースのプレビュー記事に記した不安材料が的中してしまった。

 距離不安を指摘したレイパパレは、道中引っかかりどおしで、クリストフ・ルメール騎手が「やはり距離が長かったのかもしれません」とコメント。快勝した大阪杯(GⅠ、阪神・芝2000m)とは僅か200mの違いとはいえ、前進気勢が強い彼女にとって2200mは厳しかったか。

 アカイトリノムスメは戴冠を果たした前走、秋華賞(GⅠ、阪神・芝2000m)での”仕上がり過ぎ”による反動が気になる旨を記した。馬体重こそ前走比+4㎏ではあったが、国枝栄調教師が「馬が出来過ぎでいたかな」とコメントしているように、秋華賞での激走、2度にわたる長距離輸送なども重なって、目に見えない疲労があったのではないかと推察される。

 ウインマリリンは、横山武史騎手が「今日は本来の出来ではなかった」としたように、中間に肢が熱を持つなど、調整過程が順調さを欠いたことが影響したものと見られる。

 筆者が注目馬の1番手として挙げた5番人気のウインキートス(牝4歳/美浦・宗像義忠厩舎)は中団を進んだが、直線で伸びを欠いて10着に敗退。GⅠ初挑戦、阪神コース初出走、また斤量の56㎏も初めてだったことなど”初めてづくし”で、敗因はいろいろと考えられるが、今回の大敗で見限りことなく、これからもチェックしていきたい存在だ。

文●三好達彦

【関連動画】女王の座を射止めたのはアカイイト!人気馬たちをちぎったエリザベス女王杯のレース映像をチェック
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