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格闘技・プロレス

“仰天プラン”を飲んだ那須川天心が語る武尊戦。「全員が心から試合を見たいわけじゃない」に込められた想い

THE DIGEST編集部

2021.12.25

 さらに「この試合を行なうことで、これからのキックボクシングが発展するかといったら、そうではない」と冷静に分析した23歳は、自らが指名した武尊戦の持つ意味を説いた。

「全員が心からこの試合を見たいわけじゃないんだと交渉の時点で感じた。みんな自分を守ったり、権利だったり、想いだったりをどんな状況でも大事にしたいんだなとわかりました。そういう人がいたなかでも、それでも自分のことだけを思ってくれている人もたくさんいた。その人たちのためにも闘いたい。

 僕は昔K-1を見て、キックボクシングを始めようと思ったので、この試合をやることでそう思ってくれる人が1人でも、2人でもいればなと思う。あとは未来のある子どもたちのためにやろうと考えています」
 
 時期は来年6月と半年も先の話ではある。しかし、「交わらない団体がやっと交わる。ピースでいこうよと思う。全部を整えて置き土産として試合して勝ってキックを去りたい」と熱き想いをたぎらせる天心は、終始クレバーに務めた武尊とは対照的に、次のように訴えた。

「あと半年あるのでじゃんじゃん盛り上がってほしい。みんな楽しみすぎて、事故をしないようにしてほしい」

 会見場に詰めかけた数多の記者陣が緊張した面持ち見つめる先で、マイペースを崩さなかった23歳。そんな強心臓の神童が、K-1のカリスマと拳を交わした時、いかなる化学反応が起きるのだろうか――。

取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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