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マラソン・駅伝

【箱根駅伝レジェンド対談】瀬古利彦×上野裕一郎が語り尽くす!両氏が優勝予想に挙げた大学とは?<Part1>

永野祐吏(THE DIGEST編集部)

2022.01.01

―――青学が優勝するためのキーマンをひとり挙げるとするならどうでしょう?

瀬古:2区の近藤幸太郎選手は走れて当たり前だけど、岸本大紀選手が前々回(2区区間5位)のような走りができるかどうか。それで優勝するか大きく変わると思う。彼を後半に置けたら、凄いと思うよ。他校としては、岸本選手が復路に来たら怖いもの。ゲームチェンジャーになり得るから、9区に来たら怖いよ。区間新は間違いないね。だから岸本選手が青学のキーマンだと思う。

上野:僕は岸本選手もあると思いますが、やっぱり2区の近藤選手でブレーキしてしまうと、青学が崩れると思うんですよね。一番の信頼を置かれている選手がミスするのは絶対に駄目なので。エースの役割ってチームを安心させることなので、彼が駒澤の田澤選手に引けを取らない走りをしたり、それに近づければ、そこから勢いに乗っちゃうかなと。

瀬古:乗っちゃうね。でも先日の全日本大学駅伝の走りを見たら、駒澤の田澤選手といい勝負していたから、近藤選手は力があるよね。

上野:MARCH対抗戦もひとりで28分14秒で走っていますから、単独走もできる。ただしケニア選手に抜かれた時にどう反応するか。近藤選手がどう走るかによって青学の前半が大きく変わると思います。あとは他のメンバーも強いですから、流れに乗っちゃえば。

瀬古:1区で襷を受けるタイミングだよな。多分、近藤選手はエースではあるけど、無理はさせないと思う。安全運転で、田澤選手と1分は離されてはいけないけど、30~40秒以内に繋ぐって感じじゃないですか。東京国際のヴィンセント選手とは1分離れなければいいなっていう。そんな感じで行けばいいと、私が監督ならそう考えます。

上野:周りが強いから、確実に走ってもらうって感じですね。

瀬古:そう、それで3区、4区で挽回すればいいんだよ。総合優勝っていうのはそういうことだよ。1区間で勝てるなんてなかなかないから。
 
―――瀬古さんが3位、上野監督が2位と予想された創価大については?

上野:創価大は1区で出遅れなければ、ですね。2区のフィリップ・ムルワ選手だと抜く力が少し足りないので、1区が先頭付近で来るというのが条件ですね。

瀬古:そりゃそうだな。だけどムルワ選手も去年よりは、力が付いているからね。

上野:2区は他にもケニア選手がいるので、分からないですね。2、3区が上手く進めば。3区もそこに入ってくるぐらいの選手だから力はあるはず。4区には嶋津雄大選手がいるし、5区の三上雄太選手は上れる選手なので。

瀬古:上り下りはいるんだよね、前回の経験者が。

上野:だから4区まで前回のように上位でもってこれれば。1番でなくても3番くらいでもってこれれば、順位も上がってくると思いますよ。

瀬古:4区に嶋津選手がいるのは安心材料だね。

上野:調子が良さそうですし。

瀬古:私は、去年の自信があるはずなので3位に予想しました。もっと上にも行くかもしれない。だけどあまりにも青学と駒澤ができ過ぎているので、2つの大学の下にしました。しかし優勝しても不思議ではない。青学も全員がしっかり走るとは限らないのでね。

取材・文●山本祐吏(THE DIGEST編集部)

<次回へ続く>

【プロフィール】

瀬古利彦(せこ・としひこ)
1956年7月15日三重県生まれ。早稲田大で箱根駅伝を4年連続花の2区を走り、2度区間賞を獲得。その後、日本マラソン界のエースとして羽ばたき、マラソン代表として2大会連続で五輪に出場した。現在は、日本陸上競技連盟のロードランニングコミッションリーダーに就任し、後進の育成に励んでいる。

上野裕一郎(うえの・ゆういちろう)
1985年7月29日長野県生まれ。中央大で主力として活躍。箱根駅伝には4年連続出場し、3年次には3区で9人抜きを披露した。2009年には日の丸を背負い1500メートルと5000メートルで世界選手権に出場。2018年12月から立教大の陸上部男子駅伝チームの監督に就任し、日本一速い現役監督として走りながら現役学生の指導にあたっている。
 

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