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マラソン・駅伝

東京国際のヴィンセントは「花の2区」で再び区間新出せるか?駅伝ライターが明かす怪物の現状【箱根駅伝】

酒井政人

2021.12.31

 来日しているケニア人留学生の大半はキクユ族だが、ヴィンセントは男子マラソンの世界記録保持者であるエリウド・キプチョゲと同じカレンジン族(※正しくはカレンジン族の亜族であるキプシギス族)。2018年にはU-20世界選手権ケニア代表選考会の5000メートルで4位に入っており、ケニア国内でもかなりの有望選手だった。

 4年時に花の2区で1時間6分18秒(区間歴代4位タイ)を叩き出した伊藤達彦(Honda)が在学中、3学年下のヴィンセントに練習で何度も勝負を挑んだが、勝てたのはヴィンセントが調子を落としていた1回だけだったという。全日本3区でラジニや岸本につけたタイム差を考えても、ヴィンセントは10000メートルで「26分台」の走力が十分にあると考えていいだろう。

 前回の箱根駅伝2区は1時間5分49秒というタイムを残しているが、大志田秀次監督は、「気象条件が整えば区間記録の更新はできるかなという期待を持っています」と話している。

「前回は20キロまで1時間5分30秒ペースだったんですけど、残り3キロの上り坂がうまく動かなかった。前回の経験もありますし、もっと力をうまく出せれば、もう少しタイムを伸ばせるかなと思いますね」

 箱根駅伝に登場するケニア人留学生はオーバーペースで突っ込む選手が少なくないが、ヴィンセントは慎重なタイプ。ラップタイムに気を配りながら、淡々と自分のペースを刻んでいく。しかも187センチという長身でストライドが広い。ゆったりと走っているように見えても、かなりのスピードが出ている。日本人選手がリズムを合わせて走るのは難しいだろう。

「トラックでケニア代表になりたい」という目標を持つヴィンセント。箱根駅伝2022でもワールドクラスの爆発力を発揮するだろう。

取材・文●酒井政人
 

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