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格闘技・プロレス

消えない背中の傷に流血。なぜ、世羅りさは“女子未踏の領域”となるデスマッチを続けるのか?「耐えて、生き様をみせる」

萩原孝弘

2022.01.27

 もっとも、世羅は正統派のレスリングでも、ICE×無限王座、インターナショナル・リボンタッグ王者とシングルとタッグで戴冠してきた実績を持っている。本人も「もちろん、通常ルールもなんのその!」と意気込んでいる。

 しかし、ハードコアとデスマッチに「自由さが魅力」と、従来の型にはまらないスタイルに感化された。

「ルールもさることながら、どんな凶器を持ち込むのか。その凶器をどのように扱うか考えることも楽しみのひとつ。さらにそれに耐えて、生き様をみせることも魅力です」

 世羅は、流血や背中の消えない傷など、常人なら躊躇する領域にあえて踏み込む。それによって自らを表現するベクトルを傾倒する。

 プロミネンスとして「ハードコアやデスマッチを武器にいろんな団体に乗り込んでいきたい」と目をギラつかせる。そんな世羅は、「リーダーとしてみんなを引っ張っていくために、リーダーとしての素質を磨きたい」と、4月24日に新木場で行なわれる正式な旗揚げ、「旗揚げ戦~はじまりの紅炎~」でFREEDOMSの佐々木貴とのシングルマッチを決めた。

 佐々木は言わずと知れた歴戦のデスマッチ猛者だ。女子選手が対峙するには、危険すぎるとも言える。そんな難敵との戦いに身を投じる理由を世羅は、「トップに立つ方として本当に尊敬していますし、デスマッチ団体を率いてらっしゃる佐々木選手から、技量を学びたい」と、実際にリングで肌を合わせることで、佐々木の帝王学を感じたいと論じた。

 男子でも一線級のデスマッチファイターとの1対1。この逃げ場のない戦いに「自分の覚悟を見てもらいたいです」と闘志をむき出しにする世羅の目の奥は、たしかに“紅炎”が宿っていた。

 現在の女子プロレス界は、大手の「スターダム」がトップに君臨する。そのなかにあって世羅を中心としたプロミネンスは、対局の路線で突き進もうとしている。しかし、プロレスは、多角的な要素を含むアートでもある。それがたとえ、王道とは異なる道だとしても、美しき傷だらけのアーティストたちは、その奥深さと理想を突き詰めるために、女性として未到の領域に足を踏み入れる。

取材・文●萩原孝弘

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