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格闘技・プロレス

最初で最後だから美しい。武尊が語った那須川天心への想い「彼がいたから苦しかった。でも、だから僕は強さを維持した」

THE DIGEST編集部

2022.06.28

自身の考えを言葉で紡いだ武尊。そのなかで那須川への想いは並々ならぬものがある。写真:徳原隆元

自身の考えを言葉で紡いだ武尊。そのなかで那須川への想いは並々ならぬものがある。写真:徳原隆元

 そんな重圧の中、超満員の東京ドームのメインマッチという檜舞台で拳をかわしたからこそ、ライバルへの想いはより強くなる。武尊は「天心選手はボクシングで活躍するだろうし、同じ格闘技界にいる間は仲良くはできない」としながらも、“キックボクシングの神童”に対する感情を赤裸々に語った。

「本当、天心選手がいたから……、いたからこそ、苦しかったこともあった。けど、彼がいなかったらこの年齢まで僕は格闘技をやれてない。どっかで満足してしまって、燃え尽きるかして、モチベーションを保つことができなかったと思う。約10年負けないで勝ち続けてこられたのも天心選手という存在がいたから。だからこそ、強さを維持できたと思う」

「ライバル」とは漢字で表現すると「好敵手」となる。辞書で意味を引けば、「戦うのに良い競争相手」だ。K-1のトップ戦線をかけ抜いてきた武尊にとって那須川は、まさにそんな存在なのだろう。

 7歳年下のライバルに武尊は、「なかなか簡単に言葉にはできない」と前置きをしたうえで、こうも表現している。
 
「同じ時代に、この闘いの世界の中にいてくれて、本当に感謝しかない」

 再戦を願う声は小さくない。だが、再び拳を交わすことは、おそらくないだろう。それはボクシングへの転身を決めている那須川のキャリアもさることながら、武尊が「この試合をやる時に、『2回やる必要ない』と言いました。だからこそ意味がある」と決意している通りでもある。

 立ち技格闘技最高クラスの両雄による対決は、最初で最後だからこそ、美しいものだった。

取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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