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格闘技・プロレス

衝撃のWCWデビュー。そして天才・武藤敬司との出会い――プロレス界の巨星に導かれたカズ・ハヤシの数奇な運命【後編】

THE DIGEST編集部

2022.06.30

故障からの復帰を目指しているカズ・ハヤシ。7月1日の東京ドームシティホールでは久々にその勇姿をファンに見せつける。写真:萩原孝弘

故障からの復帰を目指しているカズ・ハヤシ。7月1日の東京ドームシティホールでは久々にその勇姿をファンに見せつける。写真:萩原孝弘

 2002年に全日本プロレスに入団。世界タッグ王座、世界ジュニアヘビー級王座、アジアタッグ王座とタイトルを総ナメした。数々のリーグ戦も制覇するなど、トッププレイヤーとして君臨。そして同時にコーチとしても活躍した。

「コーチをやっていると、自分のテンションも上がります。また全日本は毎年テストで新人が入ってくるので、最初からの基礎を毎日繰り返しやるんですね。またその子に合わせた指導が必要なので、そのために昔の引き出しを開ける作業になってくるんですが、開けないと腐ってきちゃうんで、それも含めて自分のためになってます」

 2013年には全日本プロレスからWRESTLE-1へと移籍。2017年には取締役社長の座にも就いた。「人前にたくさん出ました。全国各地で知らない人と出会えるのは、社長というかプロレスラーの特権みたいなものですからね」とコネクションを拡げたカズ・ハヤシは、W-1の活動停止後はリデットエンターテイメントの執行役員にも就任。現在はその流れのままGLEATの最高技術顧問としての重責を任されている。

 プレイヤーとしては「いつパンクするかわからなかったんですけど、ついに爆発しちゃいました」とダメージの蓄積により右膝の手術を今年4月に敢行。現在は7月1日の復帰に向けて厳しいリハビリに励む日々を送っている最中だが、「手術前と比べると、調子は全然いいですよ! 万全な形をお見せします」と本人は自信を漲らせている。
 
 また、「いま49歳になり、最近実感しているんです。基本は精神なんだと感じていて、気持ちの中でなにかをセーブしておこうとか思わなければ、ずっと成長し続けられるんじゃないかと」と気力の充実がさらなるエナジーを生んでいる。

「自分の肉体をモルモットみたいに客観的に見ていると、まだまだ成長できる気がしています。だんだん歳を取ってくると上の先輩がいなくなって、上を追い越そうとする下からの突き上げばかりを感じてきますが、それよりもさらに上を目指す、越していこうとする強い力を持ち続ける精神の持ち方が大事。GLEATでもトップを張り続けて、『まだまだ進化するぞ!』って姿を見せ続けていきたいですね」

 数々の巨星との縁を繋いで、独自の星座を作り上げたカズ・ハヤシ。心技体を“ペルフェクト”(スペイン語で完璧の意)に整えた復帰戦、7.1・東京ドームシティホールでは、進化した“エストレージャ”の輝きを魅せつける。

取材・文●萩原孝弘

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